ASEANスタートアップ最前線

2015年10月16日

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宮崎学 (みやざき まなぶ)

ベンチャーキャピタリスト

IMJ Investment Partners, Principal。2011年に株式会社電通に入社。以来、一貫してデジタル・マーケティング業務に従事。大手通販企業や金融機関のクライアント担当として、デジタルメディアを活用したマーケティング戦略立案と、事業成長にコミットした広告運用を得意とする。2015年、IMJ Investment Partnersに参画。ASEAN各国の投資案件発掘に加え、投資先の経営支援を行う。日本企業のアジア進出支援、アジアベンチャーの日本進出支援も担当。筑波大学にて学士(国際関係学)、東京大学にて工学修士(技術経営戦略学専攻)を取得。

※IMJ Investment Partnersは、シンガポールを拠点に、東南アジア全域で活動するベンチャーキャピタルです。本連載、並びにIMJ Investment Partners へのお問い合わせ・ご要望はこちら

排他的なVCのコミュニティ 
ネットワークに入るためには努力が必要

中村玲奈さん Dream Incubatorシンガポールオフィス、米系投資銀行のLazardを経て、 Digital Media Partnersに参画。現在はシンガポールを拠点に東南アジア地域へのアーリーステージ投資に従事。タイ・マレーシア・インドネシアにおける決済、マーケットプレイス、SME向けサービス領域を担当

宮崎 中村さんはVCに入ってちょうど一年くらい。佐野さんと自分はまだ半年程度。いずれにしても業界では我々は新参者なわけです。なんていうか、VCって独特のコミュニティがありますよね。

中村 ありますね。シードはこの人がいれると次のラウンドのシリーズAでは、この人がいつもいれる、みたいに、いくつか投資家のコンビネーションが出来ている気がします。

宮崎 中村さんって一年くらい活動されているわけですけど、どうやってコミュニティに入っていったんですか?

中村 最初の頃は、案件の紹介を自ら積極的にやっていました。自分が探してきた案件で筋が良くサポートしたいと思う企業を、同セグメントに関心のある他の投資家に紹介するなど。紹介を通じて各投資家の関心や投資方針への理解を深める機会にもなるので、個人的には好きなアプローチです。

佐野 確かに。でも付き合う人って投資方針やステージ、ファンドの規模によってばらけませんか?

宮崎 弊社はアーリーステージ(シード~シリーズA)へ投資するんですが、実は結構シリーズB/C以降の投資家からのアプローチも多いです。というのも、彼らは投資決定に時間がかかる。下手すると起案してから半年かかることもあるそうです。普通のスタートアップだと次のラウンド行っちゃうよと笑。でも、その審査期間を短くするためか、プリシリーズAくらいから、めぼしいスタートアップには声をかけて積極的にリーチしていますね。

佐野 ちなみに、宮崎さんはVCの友人と仲良くするためにどういうアプローチとっているんですか?

宮崎 自分は、専らパーティの企画と日本の観光地紹介(笑)。この前も、マンションのプールサイドでBBQを企画しました。また、こちらの友人は、とにかく日本が大好き(笑)。親戚が麻布十番で寿司屋を経営しているのですが、そちらのお店とかを紹介すると本当に喜びますね笑。

「イノベーションは無いけど、マーケットがある」
東南アジアならではのスタートアップ事情とは?

宮崎 では、ASEANというエリアに絞ってみると、現地のスタートアップが成功するために特別なことってありますか?

中村 私自身、東南アジアには、アメリカや日本のような技術イノベーションのストーリーに投資する事例は少ないと思っています。どちらかというと、市場の高成長ストーリーに投資をするというイメージですね。この場合、東南アジア域内の複数市場への地域展開や、それをサポートする資本戦略等が重要になっていくると思います。

佐野 鋭いですね。基本的に賛成です。弊社は積極的に技術イノベーションを起こせる会社も見ていますが、数としては圧倒的に少ないですね。また、そういう意味では、中村さんの前職での経験はかなりアドバンテッジですね。私が前職時代から感じていたことは、戦略やアイディアも大事ですけど、エギュセキューションがより大事。良い物を作っても、いかに売れるようにオペレーションを組み立てられるか、試行錯誤していました。VCに入った今、スタートアップを見極めるうえでも、本当に彼らは実行できるのか? という視点で見ています。

宮崎 イノベーションは無いけどマーケットはある。名言ですね。宗教も言語も統一されていないので、EUのような欧州とは事情が全く異なります。だからこそ、各地域でのパートナーとの提携、ならびに言語や文化が違う人たちをマネジメントできるオペレーション体制づくりが重要になってくるのでしょうね。

中村・佐野 そうですね。

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