WEDGE REPORT

2015年10月17日

»著者プロフィール
閉じる

ゴン川野 (ごん・かわの)

フリーランスライター

小学生より写真とオーディオをはじめ、高校では写真部部長として暗躍。コピーライターを経て雑誌ライターに転職。バブル期にオーディオ誌で荒稼ぎしてハイエンド機器を揃える。現在はアップル株値上がりで撮影スタジオ兼リスニングルームの新築を画策中。阿佐谷在住。合資会社GON代表。

Defeat Deviceに対して日本は罰則規定ナシ

VWは、Defeat Deviceを搭載したディーゼル車が日本に1台も輸入されていないため問題はないとしている。ではもし日本に正式にこれらのディーゼル車が輸入された場合、巨額の罰金が科せられることになったのだろうか。

小野田博さん

小野田 日本でディーゼル車規制が厳しくなったのは2011年からで、当時、東京都知事だった石原慎太郎氏が、いすゞ自動車のトラックのNOx排出濃度が、60キロ定常走行時にJE05モード(モード=排出ガスや燃費を測定するときの走り方)時の約4倍になることを見つけて、国土交通省と自動車メーカーにDefeat Device対策を求めたのがきっかけでした。国土交通省はDefeat Deviceに対するガイドラインを策定。これにより日本の自動車メーカーは乗用車のハイブリッド化に取り組みました。しかし、国土交通省のガイドラインは、車両総重量3.5トン超のディーゼル車が対象でした。

 つまり、乗用車に適応されないため、VWは無罪放免ということになります。アメリカもEU(欧州連合)もDefeat Deviceの禁止が明文化されていますが、日本はこの点で遅れをとっていますね。それから、Defeat Deviceは完全に禁止されているわけでなく、JE05モードでの作動、エンジン等の保護及び車両の安全確保に必要、エンジンの始動時及び暖機過程時にのみ必要な場合、そして有意な差として一定時間以上の走行において20%以上のものという条件があります。

 いろいろ突っ込み所満載ですが、問題なのは「JE05モードでの作動」なら許可するという部分です。つまり燃費テストプログラムに最適化された燃焼マップを実装してもいいことになります。これは乗用車のJC08モードでも行われてることでディーゼル車もこれに準じますが、国際的な基準から見ればおかしな話です。

カタログ燃費と実燃費の乖離が問題

カタログ燃費と実燃費には乖離があることは、自動車の世界では当然のように思われており、ディーゼル車はハイブリッド車に比較して乖離が少ないことがウリだったが、Defeat Deviceを使っていればそれも当然である。この乖離については各国も問題視しており、日本でも「10モード」から「10.15モード」、そして2012年からは本格的に「JC08モード」を採用している。

小野田 カタログ燃費がいいのは、シャーシダイナモメーターと呼ばれるクルマを載せる巨大な装置の上でタイヤを回して測定してるからなんです。気温、湿度などが管理された状況下で燃費測定専門のテストドライバーがローラーの上を走行して測定します。これを路上で再現することは不可能ですから、実燃費は永遠にカタログ燃費に追いつけません。

 今回のVW事件もNOx排出量がテストと実際の走行時で大きく乖離していたことが始まりました。ウエストバージニア大学、主任研究員グレゴリー・J・トンプソン博士による研究で、ディーゼル車で実際に公道を100回走行してNOxとPMを測定したところ最大40倍の乖離が見つかったのです。ちなみに測定に使用した車載型排ガス測定システムは日本の堀場製作所製の「OBS-2200」が使われました。

関連記事

新着記事

»もっと見る