家電口論

2015年10月21日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

 「イイ」と感じるプレゼンテーションとは、お得な感じがするプレゼンです。分かりやすい表現で、技術・製品の位置づけ、キー技術がなぜキーなのか、どこに独自性があるのか等を、面白く伝える技術です。上手い人に当たると、落語の小咄をつなぐような面白みがあります。その部門の社員を、その場に立たせるのも一つの手ですが、伝える技術がない人も多いです。

 3つめは、メーカー差が余りなくなったことです。これは、デジタルで多く見られる問題です。デジタルには、いろいろな見方がありますが、ある一定の規格をクリアした製品を安く製造する技術と言うことができます。

 例えば、CD。本当にイイ音のするCD機器はなかなかないのですが、悪い音のするCD機器もありません。理由は、CD機器規格をクリアする時点で、決定的に悪い音がしなくなっているわけです。確かに製品には、アナログ技術でないと出せないクォリティがあります。しかし、アナログ技術を入れれば入れるほど、高くなりますからね。

 いろいろ書きましたが、単純にいうと、今のCEATECには「感動体験」がないのです。「わーぉ」と思わない。見て見たいと思わない。人に話したいと思わない。これでは人は来ません。

IFA2015の会場の一つ

IFAの選択した道

 IFAもCEATECと同様でした。民生用エレクトロニクス機器、通信機器、放送機器の技術最先端、開発成果、トレンドを紹介するコンシューマー・エレクトロニクス展。デジタル化すると、差別化は余りできませんので、先細ります。で、IFAが取ったのはホームアプライアンス、つまり白物家電も一挙に展示することでした。

 「テレビ」事業のことで、苦しんでいる日本ですが、それはテレビがデジタル化したからです。つまりメーカーによる差がなくなったわけです。確かに、シャープの8K液晶テレビはスゴいです。しかし、ハイビジョンで、シャープの画と中国のパネルメーカー BOEで決定的な差があるのかと言えば、ほんの少し、僅かです。「ない」と答える人も多いでしょうね。

 ところが白物家電は、文化に根ざしているところもあり、地域毎の差もありますし、アナログの部分も実に多い。実は、日本の各メーカー白物家電は堅調と言われるのは、これが理由です。冷蔵庫などは海外製と構造が全く違います。海外冷蔵庫は、直冷式で、内扉があり、ボックスになっているものが実に多い。日本は多湿ですから、欧州の冷蔵庫をそのまま持ってくると、ボックスごとに「霜取り」をする必要があります。このため室内に棚を入れるわけです。これが日本の冷蔵庫です。白物家電は、地に根ざした故の素晴らしさを持っているわけです。

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