世界の記述

2015年10月26日

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 中国人訪日旅行客の「爆買い」が注目されたのも束の間、中国経済は減速の様相を強めている。しかし、そんな中でもECビジネス(電子商取引)には大きな成長潜在力が見込まれており、新しいビジネスモデルが登場しつつある。

iStockより

 経済産業省が5月に公表した日本、中国、アメリカ間の越境EC市場統計によると、2014年に中国が他の2カ国から購入した金額は1兆2354億円に達し、日本の2086億円はもちろんアメリカの8134億円を大きく上回っただけでなく、対前年比53%増(日本は同8.9%増、アメリカは同13.0%増)という勢いを見せている。特に日本からの購入額は12年には1199億円であったから2年間で5倍以上の急成長である。

「爆買い」もWebサイトから

 冒頭に記した「爆買い」においても微博(Weibo)などの中国版SNSや淘宝(Taobao)などのショッピングWebサイトが決定的な役割を果たしている。

 典型的パターンを紹介すると、①訪日前にWeiboなどで買物情報を取得し買物リストを作成、②旅行中はリストをもとに購入すると同時にその様子や新しい情報をWeiboで発信、③帰国後のリピート購入では、人気商品が取り揃えられた越境ECサイトを利用する、というもの。

 このうち③段階で人気商品を提供するのが、ソーシャルバイヤーと称される人々で、日本への旅行や個人輸入などの形で商品を調達するとともに、WeiboやTaobaoなどで情報を発信している。中国で最も消費意欲の高い層(「80后(=バーリンホウ)」と呼ばれる1980年以降生まれの第二次ベビーブーム世代はその代表とされる)は、こうしたネット経由の購買パターンに馴染んでおり、国内の購買行動をそのまま海外商品向けにも適用しているといえる。

 彼らが海外から購買している商品を人気順に並べると、スマートフォン、粉ミルク、女性用バッグ、ワンピース、マスク、乳液・クリーム、フェイシャルケア用品、腕時計、紙おむつなど、「爆買い」の傾向と同様に小型高級品と日常生活用品が入り混じった構成となっている。それだけに持続的な購買が期待できる。

 我国でもこうした動向に注目し、Weibo、Taobaoに上手に情報を発信し、それらと連携して中国の需要を取り込もうとする動きが目立ってきた。最近の中国では、個人の並行輸入と同じビジネスモデルを企業に許可し、税金逃れしがちな個人に替えて納税の確実な企業を育成することを狙った制度改革が進んでいる。越境ECビジネスに参入する際には、こうした動きにも注目しておく必要があろう。

  
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