チャイナ・ウォッチャーの視点

2009年10月8日

»著者プロフィール
著者
閉じる

有本 香 (ありもと・かおり)

ジャーナリスト

企画会社経営。東京外国語大学卒業後、雑誌編集長を経て独立。近年とくに中国の民族問題の取材に注力している。『中国はチベットからパンダを盗んだ』(講談社)『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』(祥伝社)の他、近著に『中国の「日本買収」計画』(WAC BUNKO)がある。

 98年には、中国人資本の銅鉱山での労働組合設立が弾圧された。06年には、中国人経営者による賃金未払いに抗議した労働者に、中国人管理者が発砲、6人のザンビア人が射殺されている。

 アフリカはもとより、中米、東南アジアでも、中国人経営者による現地人への給料不払い、暴力沙汰の話は山ほど聞く。

 「しかし、現状では中国の援助を拒むことはできません。だからこそ、もっと日本企業や日本人に来てほしいというザンビア人の強い願いをわかってほしい」とは、在日ザンビア人の弁だ。

 両国政府が演出する「友好ぶり」とは裏腹に、ザンビアでは中国人への反感が高まっている。それを象徴したのが06年の大統領選であった。

 野党「愛国戦線」のマイケル・サタ党首は「中国資本を追い出す」ことを公約とした。結果は敗れたが、首都のルサカを中心に、前大統領を上回る28%もの票を得ている。サタ党首は、「あの国(中国)より、日本のほうがわが国に貢献している」とも力説した。

 「そんな話を、何人の日本人が知っていますか?」と、在日ザンビア人は嘆くことしきりだ。

広州のアフリカ人が起こした不穏な行動

 今夏のニュースでもうひとつ興味深かったのが、広州在住のアフリカ人による駐在所襲撃事件である。

 この事件自体に驚きはなかった。08年に広州を訪れた折、長期滞在と思しきアフリカ系の人々を大勢見たからだ。ヤミ両替を持ちかけてくる「不良アフリカ人」もいたから、暴力沙汰を起こす者がいても不思議はないと思った。

 驚いたのは、報道文の中にあった、広州におけるアフリカ人人口である。

 正規の居住者が2万人。ビザなしでの半年以内の長期滞在、不法滞在者を合わせると20万人のアフリカ系が常時、広州にいるというのだ。

 従前、中国に一時居住する外国人といえば大半が先進国の資本家層や企業のホワイトカラー、反対に、中国人労働者が先進国へ出稼ぎに行くというのが常であった。そして、ほとんどの先進国が、出稼ぎ中国人による不法滞在や犯罪の増加に頭を痛めてきた。

 しかし近年、いわば逆現象が起き始めている。アフリカやアジアの途上国から「豊かな中国」を目指して人が流れ込んでいるのだ。

 広州のアフリカ人には、中国製品を買い付けて自国で商売する商人も多いが、20万もの人の中には不法滞在して肉体労働をする者や犯罪者も少なくない。

 ナイジェリアでの原油争奪戦、アフリカでの反中感情の高まり、中国で増え続けるアフリカ系住民。これらのニュースが伝える現象は、歴史を思い起こさせ、ある想像を掻き立てる。

 アフリカで「うまい汁を吸うのみ」とも見られている中国が、そのアフリカで躓くことはないのか? という想像である。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る