世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年11月3日

 新アメリカ安全保障センター(CNAS)のフォンテイン代表が、9月30日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説にて、中韓の緊密化は中国の対北朝鮮政策を変えるために韓国が取った手だと考えることもできる、と述べています。

iStockより

 すなわち、28日の国連演説で朴槿恵大統領は、北朝鮮の核開発に国際社会が注意を払うよう訴えた。世界第4位の軍隊の7割が南方に前方展開しているほか、北は世界最大の特殊部隊を保有している。近々打ちあげるとしている衛星ミサイルに核、化学兵器を装着すれば韓国にとり大きな脅威になる。

対日政策ではなかった中韓緊密化

 このような状況で中韓関係は緊密化している。多くの者が中韓接近は両国共通の反日姿勢の結果であり、中国による日韓離反策であると考えている。そういうことかもしれないが、南北関係に注目すると、韓国が半島での特異な機会を見出し中国に手を打っていると説明することもできる。

 北朝鮮支持をやめるほどではないが、中朝の外交乖離は明らかだ。昨年習近平は北朝鮮ではなく韓国を訪問し、金正恩とは未だ会っていないのに朴槿恵とは6回も会談している。先の抗日戦勝利式典で朴槿恵は主要な招客だった。

 中国は、北朝鮮の挑発的な行動が海軍のプレゼンスやミサイル防衛の強化等当該地域での米の役割拡大に繋がることを恐れている。そこに韓国は機会を見出している。長年、中国の北朝鮮支持政策に悩まされてきた韓国は、統一に関する韓国の考えに中国を同調させ、北の非核化への中国の支持を獲得したいと考えている。それが可能かどうかはわからない。韓国の対中接近は具体的な成果よりも希望に基づいたものだ。日本が歴史に対して充分に誠実でないとの共通の認識もあり、韓国は米の同盟国にしてはあり得ない程好意的に中国を捉えている。

 しかし、中韓関係の緊密化は対米関係を複雑にする。韓国関係者は厳しくなっている米中関係の中で動かねばならないことを充分理解しているが、中国の姿勢を変えることができるかどうかを試す「外交空間」が欲しいとしている。これは地勢学上の連携の変更や対米同盟からの離反を意味するものではなく、もっと狭義の外交努力だと韓国はいう。しかし、この均衡外交はトリッキーだ。既に問題が起きている。米国はTHAADミサイル防衛システムの韓国配備を求めているが、中国がこれに反対、韓国は未だ配備を受け入れていない。中国が対北政策を具体的に変更することを条件に、米国は韓国にこの外交空間を認めるかもしれない。北朝鮮の衛星発射に対する安保理での中国の対応が、韓国の賭けが功を奏しているかどうかの判断材料になる、と述べています。

出典:Richard Fontaine,‘Seoul’s China Gambit’(Wall Street Journal, September 30, 2015)
http://www.wsj.com/articles/seouls-china-gambit-1443627076

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