オトナの教養 週末の一冊

2015年11月1日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

 練達のジャーナリストが優しく教える取材、編集、発信の基本書である。基本書ではあるが、単にさにあらず、実は非常に重要なことを含むメディアパーソン向けのガイドであり心構えを豊富な経験をもとに伝えてくれる本である。

 個人的な体験で恐縮だが、著者の外岡秀俊さんとはロンドン勤務でご一緒した時期が少しある。外岡さんが朝日新聞の欧州総局長でロンドンに赴任されていた時期の話だが、ある席でご一緒し、隣に座って話した時、外岡さんから見てかなり年下の後輩記者である自分に対してもこちらが恐縮するほど丁寧に接してくださった。優しい語り口の中にも熱いジャーナリスト魂を強く感じ、新聞記者の先輩として本当に立派な方だと以来、非常に尊敬している存在だ。

 その外岡さんが自らの経験を踏まえて読者にレッスンをしてくれるのがこの本である。中学生にもわかる平易な文章だが、内容はプロのジャーナリストにも通用する充実したものである。

 小さな驚きが出発点、偶然に眼を向ける、検索エンジンに頼らない、ネットを使う時の注意など、外岡氏のレッスンは情報収集の手法から始まる。

 取材については、仮説を立てて取材し、しっかりメモを取る、人には直接会いにゆく、そして情報源を必ず守ることを強調する。

 編集にあたって大事なことは、設計図を書き、欠けている点をチェックする。必要に応じて追加で取材して材料を集める。文章はわかりやすさ、正確さ、美しさを求める。そしてチェックを欠かさないことが大切と静かに説く。

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