WEDGE REPORT

2015年10月29日

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 シリア内戦に米ロがそれぞれ地上の特殊作戦部隊を派遣し、両国が紛争の泥沼に一段と深くはまり込む様相となってきた。とりわけロシアはウクライナ東部に展開していた特殊部隊の一部をシリアにすでに配備したもようで、双方が今後戦場で、互いに敵方で遭遇する懸念も高まっている。

画像:iStock

先手はプーチン

 特殊部隊の派遣で先手を打ったのは今回もロシアのプーチン大統領だ。米紙などによると、ロシアの特殊部隊のシリア派遣はこの数週間のうちに行われ、米国防総省当局者も確認している。「ザスローン部隊」と称されるこの部隊は米国の特殊部隊「デルタ・フォース」に酷似しており、今のところ30人から40人という小規模な派遣にとどまっているもようだ。

 ロシアはこの特殊作戦部隊とともに、シリアの軍情報機関と連携するため、数十人の軍情報将校も急派した。特殊部隊の任務は表向き、戦闘に直接参加するというよりも、シリア政府軍とロシア空爆作戦の調整を図るのが主要な役割。シリア政府軍とともに行動して空爆が正確に行われるよう誘導することが当面の目的のようだ。

 しかし、無論裏の任務もある。それは、これまで指摘してきた通り、過激派組織「イスラム国」(IS)に加わっているチェチェンやダゲスタンなどロシア出身者の“過激派狩り”だ。プーチン氏は「7000人ものロシア過激派」が合流しているとしており、特殊部隊の投入で本腰を入れてこの裏の作戦に取り組む考えと見られる。

 9月末に始まったロシアの空爆作戦はちょうど1ヶ月になろうとしているが、空爆の頻度は1日平均80回も行われる激しさで続いている。攻撃目標もアサド政権に敵対する北西部の反体制派の拠点に集中しており、ISに対する攻撃は少ない。こうした中で、プーチン大統領の支持率は今回の介入で急上昇、ある調査では89.9%と歴史的なレベルにまで達している。

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