WEDGE REPORT

2015年10月30日

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 Jリーグがスタートしたのは1993年、既に20年以上の月日が経過した。サッカー日本代表は1998年のフランス大会で初めてFIFAワールドカップに出場。以来、通算5大会に出場し、2002年と2010年にはベスト16まで勝ち進んでいる。それでもまだ世界の強豪国にはなかなか勝つことができない。その理由の一つとして、「サッカー文化」というキーワードがよく見受けられる。今回、 ジュニア世代の母親に向けたフリーペーパー『サカママ』の活動を通して、日本におけるサッカー文化について考えてみた。

ジュニアサッカーのフリーペーパー『サカママ』は、2012年にスタート。イベントは、サッカーを家族で楽しむことをコンセプトにしたサカママにとっては、考え方を知ってもらうきっかけであり、サッカーを日本の文化に、という未来に向けた取り組みの一つである。(写真:サカママ提供)

サッカーを日本の文化に

 今年7月、女子サッカーワールドカップで準優勝して帰国したなでしこジャパンのキャプテン宮間あや選手は「女子サッカーをブームから文化へ」と課題を語ったが、女子サッカーだけではなく、世界を見てきた選手やコーチも日本にはサッカーの成熟が社会として不足していることを指摘し、世界のトップレベルで戦うにはサッカーが日本の文化になる必要がある、と話している。

 京都サンガF.C.育成・普及部の部長池上正氏は、自著『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(小学館、2008年)の中で、スペインの6歳児に驚いた経験を踏まえ、「6歳児の流れるようなパスワークは、この国の歴史と伝統から培われたものだ」と書いている。さらに、元日本代表の中田英寿氏は、ブラジルワールドカップ前の2014年4月、日研総業株式会社の会見で、「日本のサッカーはプロとして始まって短いので、文化という形でまだ成り立っていない。だからこそ、それを目指した上での考え方を出していかなければいけないと思います」と話している。

 『footballista!』というワールドサッカー誌を手がける株式会社ソル・メディアの執行役員である堤秀樹氏も「サッカーを日本の文化に」という夢を語る一人である。彼は一メディアとして、サッカーを文化にするための行動を積極的に起こしている。彼がまず始めたのは、高校サッカーだった。日本では高校を卒業するとサッカーを終えてしまう学生が多い。

 一方、サッカーの盛んな南米やヨーロッパでは、おじいちゃんと呼ばれるような年齢になっても、地域のクラブチームに所属し、年代別カテゴリーでサッカーを生涯スポーツとして楽しんでいる。また、そこではサッカーを通じて世代が交わりを持つというメリットもある。世代を超えて伝わっていくものが、そこには存在する。

 2008年にスタートした高校生サッカーフリーマガジン『footies!』では、大学サッカーや専門学校、フットサル、サッカーに関わる働き方などについても継続的に発信を続けている。

 そして、次に堤氏が手がけたのが『サカママ』というフリーペーパーである。サッカーを始める時期に重要な役割を果たす親御さん、特に母親にターゲットを絞り、サッカーを通じて家族に楽しみが広がり、子どもも大人もサッカーが好きになるようにという願いを込めて発行されている。サカママでは「サッカーの上達」と「サッカーを通した健やかな成長」に役立つ情報を発信しており、また、イベントも年数回行っている。現在は自主開催のものだけでなく、自治体からのリクエストも多いという。今回私が参加したのは、神戸で行われたイベントだった。

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