2024年4月19日(金)

石油を読む

2015年11月27日

 私は、価格レベルの形成に影響を与える情報は、4つの、異なった性質を持つ群に分けられる、と思っている。

石油価格を決める4つの情報群

 第1群は、生産者側および最終需要者側の経済合理性に根を張った情報で、井戸元での生産コスト情報など。

 第2群は、短期的あるいは中長期的な国際石油需給見通し、つまり供給能力の過不足見通しなんかの情報。こういう情報に基づいてなされる取引を、現物取引と言う。

 第3群は、石油の先物市場において買い圧力が優勢か、それとも売り圧力が優勢か、を教える情報。先物市場はマネーゲームの世界だから、石油経済をよく知らないし、ちゃんとした関心もないプレイヤーのほうが多勢だ。

 第4群は、石油の世界に影響力ある有力ソースから発信される将来価格見通しで、これは世界の取引関係者たちに方向感を与えようとしている。「中長期的には、世界経済にとって70ドルが望ましい」とか、発信する価格予想が自己実現することを狙っている。このような性質の情報を本稿では「ナビ情報」と呼ぼう 。

 この、4つの群の仕分け法は、直感的に思いつかれたものだ。

 ただ、これがたいへん使い勝手がよいことを、順を追って説明してゆくのが本稿の企画であります。私は、この仕分け法を手練の武器として、面白くて、奔放なる石油・エネルギーの世界に長い間、身を置いている。

  
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