WEDGE REPORT

2015年11月5日

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 10月31日エジプト・シナイ半島で起きたロシア「メトロジェット」社の旅客機墜落の原因はいまだ不明のままだ。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出したものの疑問点が多く、テロとは断定されていない。調査にはエジプトなど関係国の政治的思惑も絡んでおり、究明には時間がかかりそうだ。

墜落を悼んで献花するモスクワ市民(Getty Images)

「尻もち事故」に焦点

 シナイ半島の突端、紅海に面したエジプト屈指のリゾート地、シャルム・エルシェイクからロシアのセント・ピーターズバーグに向けて離陸した同社のエアバス機は約20分後、レーダーから消えた。間もなく墜落が判明し、乗員乗客224人全員が犠牲になった。

 ロシアの航空当局者は、同機の残がいが8キロ四方に広範囲に散乱していることや、翼の損傷の状況などなどから、同機が空中で爆発した可能性が強いとの見方を示している。「メトロジェット」社によると、同機からは墜落する前に救難信号などは発せられていなかった。しかし墜落する1分前に速度が著しく遅くなり、高度が突然1500メートルも低下していた。

 同社の幹部は機体に故障が発生したり、パイロットの操縦ミスなどではないことを強調、「外部から衝撃が加わった」ことによって墜落したとしている。
同機が老朽化していたとの指摘についても、エアバスの同型機の飛行寿命は約12万時間なのに対して、同機はまだ18年間5万7000時間しか飛んでいないとして否定している。

 同社のこうした姿勢には保証問題を軽減しようという意図があると見られており、無理矢理テロなどの外的要因に墜落の原因を求めようとしているとの批判も強い。ロシアの航空当局者はフライトレコーダーの解析も済んでいないうちに、そうした結論を出すのは時期尚早、と同社の対応を諫めている。

 事故説の根拠になっているのは、同機が2001年にカイロ空港に着陸した際、機体後部を滑走路にぶつける「尻もち事故」を起こしている点だ。製造元で修理されたとしているが、「尻もち事故」を起こしていた旅客機が何年か後に墜落するケースはこれまでに少なくとも2件ある。

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