2024年4月24日(水)

Wedge REPORT

2015年11月21日

バディスポーツ幼児園・クラブ 鈴木威理事長インタビューQ スポーツ幼児園をはじめたのはなぜですか?

A スポーツを通じて考える力を付けてほしいと思ったことがきっかけです。私は、「一つの正解を求める」という教育方法に疑問を感じていました。子どもによって正解は違っていてもよく、「自分にとっての正解は何か?」、スポーツを通じてであれば、その場、その場で、瞬時に判断することが求められるため、子どもが自ら考えること、つまり「生きる力」を付けられると思いました。

鈴木威理事長

 「子どもにはできない」と大人が判断して、チャレンジさせないのではなく、大人はそのチャレンジをサポートしてあげるべきです。チャレンジが成功したときの「達成感」、「やればできる」という連続がまた「生きる力」につながっていくのです。

 最初は4人からのスタートでしたが、そうした意図を、多くの親御さんが理解してくれて、口コミで広がっていき、35年たったいまは、東京と神奈川に7校、約2000人にまでなりました。

Q マラソンの川内優輝さん、サッカー日本代表の武藤嘉紀さんなど、トップアスリートとして活躍する人も輩出されていますね。

A 川内くんは、お母さんが非常に素晴らしかった。全体のなかではそう走るのが早い子ではなかったのですが、お母さんが「うちの子は、早生まれ(3月5日)なのによく頑張っている。早く走ることができる」と、褒めていました。甘やかすのではなく、褒めることによって、次のチャレンジを促していたということです。

 武藤くんは、陸上とサッカーを両立してやっていました。彼の走力は陸上で培われたものです。日本における子どものスポーツ環境としてよくないのは、一つの競技しかさせないことです。野球なら中学、高校、大学までずっと野球、サッカーならサッカーだけと。

 色々な種類の競技をさせてみることで、思わぬ才能を発見することができることもあるのです。例えば、サッカーで足を使うのもダメ、バスケットボールで手を使うのもダメだった子が、ラグビーで全身を使うと物凄い才能を発揮し、高校では花園に出場し、大学ラグビーでも活躍するまでの選手になりました。

Q スポーツ指導で心がけていることは何ですか?

A 少し難しいことをさせるようにしています。チャレンジさせるためです。子どもは、放っておけば易しいことしかしませんし、練習もしません。だからそこは、大人が導いてあげる必要があります。例えば、バディは、3歳児に「3点倒立」「跳び箱6段」「鉄棒の逆上がり」に挑戦させます。

 3歳児には無理だろう。できる子がいたとしても全員ではないと思われるかもしれませんが、全員が必ずできるようになります。もちろんできるまでの時間に差はありますが。できるようになるまで、大人は子どもに付き合ってあげるべきなのです。

 バディではスキー合宿を毎年しています。スキー客のなかには、3〜5歳の子どもに「スキーなどできるわけがない。可哀想だ」と、苦情を言ってくる人もいます。でも、2、3日すれば全員が滑ることができようになって、「おぉ、すごい」と、驚かれるようになるのです。

Q 最近の親(子)を見ていて感じることはありますか?

A 親が変わってきたなと思います。厳しい言い方になりますが、親が楽をするようになっています。一番、目立つのが排泄です。少し前まででしたら、1歳を過ぎたら、おむつを外す準備をしていたものです。というのも、紙おむつは高かったし、布おむつを毎回洗濯するもの大変でした。いまは、紙おむつが安く手に入るようになったこともあり、2歳、3歳になってもおむつを付けたままです。親も手伝って、努力して、子どもと一緒に、次のステップに進むことが大事です。

 親御さんは、子どもに「ありがとう、と言いなさい」と、よく言います。しかし、本当は「ありがとうと、言われるようになりなさい」というのが、私は正しいと思っています。

  
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