2024年4月24日(水)

古希バックパッカー海外放浪記

2015年11月22日

韓国の担ぎ屋のおばさんたちの草の根の日韓交流

 大部屋に布団を敷いて落ち着くと初老の男性が話しかけてきた。広島在住の男性であり65歳くらいで実直そうな御仁だ。子供たちは独立して、かなり前に奥さんに先立たれて現在は年金で一人暮らしだそう。釜山に親しくしている韓国人の女性がいて、年に数回彼女を訪問するのを楽しみにしているとのこと。「毎回お土産を沢山持参するので重くて大変ですよ」と朴訥に語った。

 この男性の話でもここ数年はフェリーでは日本人観光客をほとんど見かけないそうだ。彼の話では韓国の担ぎ屋のおばさんたちは一年中ほぼ毎日関釜間をフェリーで往復して商売している。決まった部屋を仲の良いグループで予約して実質的に船室で暮らしている。韓国から韓国料理の食材や調味料などを日本の韓国料理屋向けに運び、逆に日本からは韓国の日本料理屋向けに日本料理の食材などを運んでいると。この担ぎ屋のビジネスは昨今の冷えた日韓関係の影響は受けていないようだ。

釜山近郊の海雲台の海鮮市場

 両国に根付いた相手国の食文化は多少の政治的動きに影響されない揺るぎない基盤が出来ているということのようだ。カルビやキムチなど韓国由来の食文化は日本に定着している。他方で韓国では日本統治時代以来日本食文化が普及して韓国式に多少アレンジされて現代韓国の食文化の大きな部分を占めている。ラーメン、うどん、海苔巻き、おにぎり、おでん等は日常的に食されている。「日式」という看板を掲げている日本料理屋は全国津々浦々にある。

 両国の食文化の相互関係は今後の日韓関係をどのように構築してゆくかを考えるヒントのような気がした。食文化のみならずスポーツ、芸能、経済など各分野で相互交流が深化してゆけば政治的関係も次第に緊密化して歴史認識問題も落ち着いてゆくのであろうか。

 それともいくら他の分野で両国関係が緊密化しても政治的関係、歴史認識問題は別なのであろうか。

ご利益のある金豚をなでて道中の安全を祈願

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