田部康喜のTV読本

2015年11月18日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 「わたしは本当に彼を好きになりそう」

 ひとつ屋根の下に住みながら、「偽装夫婦」を演じているうちに、超治の純粋な心に触れて、かつての愛情を取り戻してきたのである。

 ところが、ヒロがそのことを告白しようとすると、超治は憧れている保(工藤)のもとへ出かけてしまうのである。酔った勢いで保に告白すると、保に驚かれてしまい、傷つく超治であった。

 ドラマは上質なコメディに仕上がっている。そして、これまで数々のドラマで高視聴率を獲得したように、天海の演技は確実である。

汚れ役を演じても、「天下の美女」

 天海の女優人生に欠けているのは、主演作に対する世界的な賞である。主演女優賞を獲得して欲しいばかりではない。カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンの映画祭で監督が最高賞を獲得した作品のエンドロールに、彼女の名前を見出したい。

 デビュー作には、その後の女優人生の将来が暗示されているものである。天海のドラマ初主役は、フジテレビの「橋の雨」(1996年)だった。伊集院静の原作。CSの専門チャンネルで最近観た。

 普通のOL役の天海が、ふとしたきっかけでヤクザの緒方拳と知り合う。緒方は天海を自分の世界に引きずり込むことを避ける。天海は自分も緒方と同じように、背中にコイの彫り物を入れて、結ばれようとする。しかし、緒方はヤクザの抗争のなかで死んで、ついにふたりは結ばれない。

 汚れ役を演じているようでいて、やはり「天下の美女」である。制作者たちはそんな天海に、日本を代表する緒方を配し、ひそかに天海を慕う役に当時は若手の阿部寛を当てる。

 宝塚の舞台で、トップスターを光り輝く存在にするように、相手役と脇役に演技力の高い人材を配する。

家族の在り方を問う

 今回のドラマも、偽装の夫婦をともに演じる沢村をはじめ、姑役の富司、叔母役には個性派女優のキムラ緑子が脇を固めて、宝塚のスターシステムのように天海を支えている。

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