サムライ弁護士の一刀両断

2015年11月25日

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鈴木健文 (すずき・たけふみ)

弁護士

弁護士。敬和綜合法律事務所、ケルビン・チア・ヤンゴン法律事務所所属。2009年登録。東北大学法学部卒業、首都大学東京法科大学院修了、南カリフォルニア大学法学修士(エンターテインメント法)。日本では、M&Aアドバイス、知的財産法務、金融法務、渉外法務等に従事。2015年9月からミャンマー、ヤンゴン市にて執務中。日本企業に対して、ミャンマー進出支援、知的財産法務、労働法務、金融法務などのアドバイスを提供している。また、2016年4月からは、法務省の委託を受け、ミャンマーにおける日本企業・邦人に対する法的支援のあり方を調査・研究している。
 

 去る2015年11月8日に、ミャンマーで2011年の民政移管後初めてとなる総選挙が実施された。選挙結果の最終的な公表には数週間を要すると言われているが、11月14日時点で、アウン・サン・スー・チー氏率いる野党国民民主連盟(NLD)が、過半数の議席を獲得した旨が選挙管理委員会より発表されている。現政権与党の連邦団結発展党(USDP)も、事実上の敗北宣言を行っている。この選挙結果が公正な選挙の結果として受け入れられる限り、国会議員の過半数はNLDが握ることとなり、USDPからNLDへの政権交代は必至である。では、この選挙により、ミャンマーは完全に民主化されたと言って良いのだろうか。

投票所の様子(Getty Images)

ヤンゴンでの日本人弁護士

 本題に入る前に、日本人弁護士である筆者がなぜヤンゴンに来て、また何をしているのか、少し触れてみたい。筆者は、現在、ヤンゴン市内の外資系法律事務所にて外国弁護士として執務している。ヤンゴンに来る以前は、米国ロサンゼルスのロースクールに留学し、知的財産分野などを中心とした米国法を学んでいた。日本人弁護士が留学する際、留学後に引き続き海外で研鑽を積むというのは、一般的なキャリアパスである。

 筆者も留学後に海外で一定期間執務経験を積むつもりでいたが、せっかくならチャレンジングな経験を積みたいと考えていた。成熟した市場で洗練された知識や経験を身に付けるのも良いが、どうもそれは筆者の性に合わない。手探りで道を探りながら開拓していく方が、筆者には合っているような気がした。そんな中、友人からミャンマーでの研修を紹介された。

 話を聞くまでは、アウン・サン・スー・チー氏や過去の軍事政権程度の知識しかなかったのだが、調べてみると、民政移管が2011年にあったばかりで、法整備も投資もまだまだこれからだという。しかも治安は良く、親日的であるという。調べれば調べるほど、自分に合った素晴らしい研修機会だと思うようになった。こうしてロースクールの修了後に、このヤンゴンにやってきたのである。

 ヤンゴンでは、日本語が話せる外国弁護士として、日本企業の窓口を担当し、また実際の業務にも参加している。2011年民政移管後、ミャンマーへの日本企業からの投資・新規ビジネスは、大幅に増加している。筆者の担当する業務の約半数は、こうしたミャンマーへの新規投資・ビジネスの相談や支援である。一方、2011年に民政移管され、既に相当数の日本企業がミャンマーへの進出を果たしている。当然、ミャンマー進出後に様々な法律問題が生じることがある。日本や米国での経験等を活かして、ミャンマー進出後の日系企業に対して、各種契約業務や知的財産、金融法務、労働法務等の法律業務を提供している。

 なお、筆者はミャンマー語は話せないが、社内の公用語は英語であり、社内でのコミュニケーションに困ることはない。ミャンマー人だけでなく、中国人、台湾人、シンガポール人、フィリピン人、マレーシア人、それにアメリカ人の弁護士がいることもあって、国際色豊かな環境で執務している。

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