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2015年12月2日

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永田安彦 (ながた・やすひこ)

日本エネルギー経済研究所 中東研究センター副センター長

1988年ニューヨーク大学経営大学院修士課程終了。石油会社勤務等を経て現職。著書に『米国投資銀行の事業概要と石油先物市場での戦略』(共著、日本エネルギー経済研究所)等。

原油安が続くかどうかは産油国の財政次第

減少に転ずる米国石油生産量
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 原油安により石油輸出収入が15年は前年比半減しており、サウジをはじめほとんどの中東諸国が財政赤字に陥っている。IMFは20年までに、中東諸国の財政赤字は1兆ドルに達すると想定する。

 サウジは今年、07年以来8年ぶりに国債を発行した。国債発行額は7月以降10月までで200億ドルにのぼる。

生産枠を上回るOPECの原油生産量
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 サウジの政府債務は対GDP比で世界最小といわれるが、今後は、累積する赤字への対応のため、国債発行が増大する。IMFは対GDPの負債比率は現在の2%以下から、20年には33%に上昇する可能性があるとし、その場合、政府債務は2000億ドルを超える。

 国債発行とともに、サウジはサウジ通貨庁(中銀)が保有する対外資産の取り崩しにより、歳入不足を補っている。対外資産は14年9月の7460億ドルをピークに、今年8月には6590億ドルへと急激な減少をみせている。

急増が懸念される政府債務
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 今年1月には、サルマーン国王就任時にボーナス約300億ドルが公務員及び年金受給者などに対して支給された。さらに、イエメンでの空爆にかかわる軍事費やIS、国内テロ対策などの支出が拡大しており、財政事情は苦しい。

 湾岸諸国は、電気、水道、燃料油などに関して、膨大な補助金を支払っている。そのなかで、今年7月に注目を集めたのが、UAEにおける燃料油の補助金廃止である。

減少するサウジアラビアの対外資産
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 サウジも国内のエネルギー価格引き上げを検討しており、これまでは国民の反感を恐れて実施が難しいとされていたが、いよいよ手を付けざるを得なくなってきた。

 また、UAEでは付加価値税(VAT)及び法人税の導入が検討されており、すでに連邦の税制のための法案の作成を完了している。さらに、サウジでは歳出削減に関し複数のアドバイザーを選任し、インフラ整備等を含む資本支出計画の見直しが始まっている。

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