こういった素晴らしいブロード・コレクションに加えて、もう一つの重要なアート作品がある。それはこの斬新なフォルムを誇るザ・ブロードのアーキテクチュアそのものである。設計のコンセプトは「ヴェール&ヴォルト(Veil &
Vault)」だ。ヴェールとは建物を包む外装を指し、ヴォルトとはコレクションの保管庫を意味する。
ブロードを訪れた誰もが足を止めて見上げるロバート・サリアンの『Under the Table』。ブロードが所蔵している18作品のほとんどは、サリアンの自宅やスタジオに置いてある家具などからインスピレーションを得ているという
アート作品における”展示と保管”という2つの鍵
女性が被るヴェールをイメージした、多孔状の蜂の巣のような外部構造により、太陽光はフィルターと通したような柔らかい自然光となって館内に流れ込む。館内随所で視界に入るVault=保管庫は、アート作品に対して”展示と保管”という、2つの鍵となるミュージアムの役割を私たちにアピールする。保管庫をくり抜くようなスタイルで設置されているらせん階段では、設置された小さな窓から保管されている膨大なコレクションを見ることができる。ロサンゼルスが誇るコンテンポラリー・アートの分野で、ザ・ブロードは新たな牽引力を発揮することになるだろう。
取材協力:ロサンゼルス観光局・ロサンゼルス国際空港www.discoverlosangeles.com/jp
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。