2024年4月19日(金)

Wedge REPORT

2015年12月4日

国主導の「上場ゴール」

 株価の今後を確定的に占うことはできないが、配当利回りが選択の鍵になっているということは、郵政3社の株価には重しがあるとみたほうがよく、現在の株価の上値をさらに追う展開にはなりづらいだろう。とすれば、上場時点がもっとも株価が高い「上場ゴール」を国が主導したことになるから笑えない。

あちこちにこれらの歪みを発生させてでも形式的な民営化は進んでいく。国は復興財源を得たいだけだが、郵政幹部の真意はどこにあるのか。民営化とセットで、ゆうちょ銀の預入限度額の引き上げや、手をつけやすい新規事業の認可は進めてもらう。一方で完全民営化は阻止して、郵便と金融事業の一体性を維持し、ユニバーサルサービスを盾に雇用を維持するというあたりが狙いだろう。

郵政がゾンビのように生き残ることは、特定郵便局長の票を当て込む政治家にとって都合がよく、国債を消化してくれる存在が残るという意味では霞が関にとってもウェルカム。結果、抜本的な根治改革はなかなか着手されない。

小泉純一郎氏の郵政解散は、ちょうど10年前の夏。あの熱狂を思い出せない国民は多いだろう。上場の真実が何であろうが、10年後も大して問題になっていないのかもしれない。

  
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