テロでもっとも怖いものは


藤原章生 (ふじわら・あきお)  毎日新聞記者

1961年、福島県生まれ。北海道大学工学部卒業後、住友金属鉱山に入社。89年に毎日新聞社に入り、ジャーナリズムの道へ。92年に外信部に所属し、 93年にメキシコ留学。帰国後の95年から南アフリカ・ヨハネスブルグでアフリカ特派員、2002年からは、メキシコ市支局長、ラテンアメリカ特派員。08年〜12年までローマ支局長。5 年半に渡るアフリカ特派員時代の取材を元にした著書『絵はがきにされた少年』(集英社文庫)で05年の開高健ノンフィクション賞受賞。著書に、『世界はフラットにもの悲しくて』(テン・ブックス)、『資本主義の「終わりの始まり」―ギリシャ、イタリアで起きていること』 (新潮選書)、『ギリシャ危機の真実 ルポ「破綻」国家を行く』(毎日新聞社)『翻弄者』(集英社)、『ガルシア=マルケスに葬られた女』(集英社)。

コラムの時代の愛−辺境の声−

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2001年9月11日。ニューヨークの世界貿易センタービルに旅客機が突き刺さった音を、私は東京で聞いた。CNNを流す小さなテレビの脇に立ち、キャスターの言葉を聞き取ろうとスピーカーに耳を近づけた瞬間、「バーン」という鉄板を叩き割るような音がした。キャスターは動転した声で「何か打ち込まれたようです、ロケット、いやミサイルでしょうか」とコメントした。私は手にしていた原稿用紙に「ロケット? ミサイル?」と書き込んで、同僚に手渡した。

9.11発生後、ニューヨーク市のユニオンスクエアでアラブとの宥和を訴える人々(Getty Images)

 その晩はいつになく静かだった。新聞社の外信部にいた私は、同僚2人と海外ニュースをチェックしていた。大きなニュースもなく、新聞の早い版の編集を済ませ、ゲラを確認した私たちは、弁当を食べ終わり、くつろいでいた。

 その時、いつも机の端、書棚の上に据え付けていた二台のテレビのうち右側に高層ビルが映し出された。CNNの映像だ。左側の小型テレビのNHKに、そんな絵はない。よく見ると、ビルからかすかに煙が上がっている。「火事か?」。同僚の声を合図に私はテレビの脇に行き、ボリュームをあげたその時、破裂音を耳にした。

 それから4、5時間、私はテレビの米国情報を日本語に翻訳しては同僚に渡し、とんでもない事件を伝える新聞作りに追われた。情報は海外にいる同僚、つまり現地の特派員をはじめ、内外の通信社からひっきりなしに入ってくるが、私はCNNを聞いてメモにまとめあげる仕事に徹した。

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「コラムの時代の愛−辺境の声−」

著者

藤原章生(ふじわら・あきお)

毎日新聞記者

1961年、福島県生まれ。北海道大学工学部卒業後、住友金属鉱山に入社。89年に毎日新聞社に入り、ジャーナリズムの道へ。92年に外信部に所属し、 93年にメキシコ留学。帰国後の95年から南アフリカ・ヨハネスブルグでアフリカ特派員、2002年からは、メキシコ市支局長、ラテンアメリカ特派員。08年〜12年までローマ支局長。5 年半に渡るアフリカ特派員時代の取材を元にした著書『絵はがきにされた少年』(集英社文庫)で05年の開高健ノンフィクション賞受賞。著書に、『世界はフラットにもの悲しくて』(テン・ブックス)、『資本主義の「終わりの始まり」―ギリシャ、イタリアで起きていること』 (新潮選書)、『ギリシャ危機の真実 ルポ「破綻」国家を行く』(毎日新聞社)『翻弄者』(集英社)、『ガルシア=マルケスに葬られた女』(集英社)。

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