WEDGE REPORT

2015年12月10日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 3Dプリンターが普及して久しい。立体をプリントアウトできる3Dプリンターは様々な目的で使われているが、米国では車をプリントアウトする、という新しいビジネスが始まり話題となっている。

 アリゾナ州にあるローカル・モーターズ。創立は2007年で、今年11月のSEMAショー(ラスベガス)で3Dカーのプロトタイプ、LM3D SWIMを発表した。この車のデザインがコンペによって決定したのが今年7月、その後わずか4カ月で実際に走行できる車が作り出されたことになる。

マツダロードスターの部品を使用

 ローカル・モーターズのユニークな点は、まずコミュニティサイトを立ち上げ、マイクロファンディングによる資金を募ったこと。その後もコミュニティサイトで広く一般の意見を取り入れた車作りを行ってきた。デザインコンペもコミュニティ内で募集が行われ、ケビン・ロー氏のデザインが選ばれた。

 ちなみに審査員には米深夜番組のトークショー司会として有名であり、自動車コレクターとしても知られるジェイ・レノ氏も名を連ねた。

 車作りの手法は既存の自動車メーカーとは全く異なり、ダイレクト・デジタル・マニファクチュアリング(DDM)が採用されている。デザインを3D化し、直接大型の3Dプリンターで「プリントアウト」するのだ。

 素材として使われるのはサーモプラスチック素材のメーカー、SABICによって提供されたABSプラスチック8割、カーボンファイバー2割の合成樹脂。プリントアウトによるユニボディのため、プラスチックとはいえ強度は十分だという。

 もちろん車のすべての部分が3Dプリントで作られているわけではない。現在プリントされる部分はおよそ75%だが、将来は90%までをプリントで仕上げるのが目標だという。

 駆動にはガソリンエンジンではなくEVを採用。理由はエンジンに比べモーターで動くEVはコンポーネントが少なく3Dプリント向きであるためだという。プリントできないコンポーネント、たとえばウインドシールド、サイドウインドウ、バックウィンドウ、ヘッドライト、テイルライト、ウィンカー、リフレクト盤、サイドミラー、シート、ストップライト、ハンドル、ヒンジ、ラッチなどは既存のものを使用しているが、面白いのはこのほとんどがマツダ「ミアータ(日本名ロードスター)」から流用されている、という点だ。

 また、通常のEVはシート下部にバッテリーが組み込まれることが多いが、シートはプリントできないためローカル・モーターズではセンターコンソール部分に縦型のバッテリー収納スペースを取り、リチウムイオンバッテリーを搭載する。

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