田部康喜のTV読本

2015年12月17日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 ドラマは、患者の病巣が目で見える医師・為頼英介(西島秀俊)と、無痛治療を目指す白神メディカルセンターの医師の白神陽児(伊藤英明)との出会いから始まる。為頼は殺人を犯そうとする人物の表情に「犯因症」が、まるで血管が浮き上がったようになる表情を読み取ることができる。ふたりは、無痛治療の開発と犯因症の解消方法を研究することで手を握る。

 白神は、無痛症のイバラに対して、新薬を投与して、無痛治療の治験を深めようとしている。その後遺症から、無意識のうえで凶暴性を発揮しているのではないか、と為頼は疑うようになる。

 一家殺害事件を追う、刑事の早瀬順一郎(伊藤淳史)は犯人を追うなかで、「犯因症」が現れることを、為頼から警告される。いったんは、為頼にその治療を頼んだ早瀬だったが……。

 一家殺害事件の容疑者は、二転三転して、言葉を失った入院患者の南サトミ(浜辺美波)が疑われる。殺害現場の様子を忠実になぞったような絵を描いていたからである。現場で発見された帽子とそれについていた金髪に染められた髪の毛も、サトミの疑惑を深める。

 白神メディカルセンターの臨床心理士である、高島菜見子(石橋杏奈)が、かつての恋人であった佐田要造(加藤虎之助)にストーカー行為をされる。この佐田をイバラが殺害した容疑が浮上する。

 そして、イバラとサトミは白神メディカルセンターを抜け出して、逃亡の旅にでる。追い詰められたイバラは、衰弱したサトミを為頼の自宅まで運び込む。さらに、イバラを追跡していた刑事の早瀬は、犯因症の表情を浮かべて、拳銃でイバラを撃つ。イバラは川に飛び込むようにして倒れ、行方がわからなくなる。

 最終回は、一家殺人事件の謎が解き明かされて、イバラの最期もはっきりとするのだろう。

 映画「東京難民」(2014年)で、中村は父親の仕送りが途絶えて大学を除籍になり、アパートも追われ、ネットカフェで暮らすうちに、ホストとなる。そして同僚の借金を背負う形となって、逃げ出して土木作業員になる。しかし、追ってきたホストクラブの経営者の暴力団関係者に殴り倒され一時は記憶を失う。多摩川の河川敷に置き去りにされたところをホームレスに救われて、空き缶拾いや古雑誌の販売などをする。

 優しさにあふれながら、底辺に落ちながらも、生きる気力を取り戻していく。

 刻々と変化する環境のなかで、さまざまな表情をみせていく演技。「無痛」にも通じる。中村の若手俳優としての将来が楽しみである。

  
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