2024年4月19日(金)

解体 ロシア外交

2015年12月31日

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 このようにロシアにとっては難しい課題が多い2016年だが、ロシアは米国に対しては強硬姿勢を貫くだろう。なぜなら、米国のオバマ大統領の任期が迫る中、オバマ大統領が何か大きなことをする可能性は低く、そのような大統領と何か大きな交渉ごとをすることは徒労であると考えている節があるからだ。

 また、上述の通り、ロシアの経済が極めて厳しい状況であることは間違いないとはいえ、ロシア政府は(国内的・対外的なポーズかもしれないが)資金不足を否定している。もし実際に、ロシアの経済状況が改善すれば、ロシアの内政・外交の自由度はかなり高まるだろう。

日本はロシアと緊密化を

 最後に、日本は2016年にどのようにロシアと付き合うべきかを検討したい。

 日本は米国との関係を重視するため、ロシアと米国の関係が悪化している状況下では、ロシアと距離を置く傾向があり、本来であれば2014年に予定されていたプーチンの訪日もウクライナ危機によりずっと延期してきた。しかし、日本はロシアとの関係を重視すべきである。2016年はなんとしても首脳外交を密にし、プーチン訪日を実現した上で、日露関係の緊密化に努力するべきだろう。

 良い兆しもある。たとえば、日露の共同軍事演習や共同クジラ類調査の計画である。このような協力体制は両国関係に良い影響をもたらすだろう。

 他方、2015年6月に可決していた「流し網漁」禁止の法案が2016年に発効することは、日露関係に大きな亀裂をもたらすだろう。特に、日本の漁師が直接に大きな打撃を受けることから、本問題は日本政府がなんとか解決すべき重要な課題である。

 このように多くの不安定要因がある中で、日露関係の強化は難しい。しかし、日本は政府レベルのみならず、民間レベルやビジネスレベルなど様々なレベルでロシアとの関係を深め、長期的視点で両国関係を深めていくべきだろう。

  
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