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リビアに「カダフィ残党IS」

畑中美樹 (はたなか・よしき)  国際開発センター エネルギー・環境室研究顧問

富士銀行、中東経済研究所などを経て現職。著書に『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)ほか。

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 では、ISの活動が中部シルテで活発化との欧米メディアの報道はどう見れば良いのか。実はシルテは故カダフィ大佐が育った街であり今もカダフィ・シンパの戦闘員が数多く存在する。リビアが安定化すれば行き場のなくなる彼らがISを名乗って事件を引き起こしてきた。そのあたりを先刻承知の国民は彼らのことを「カダフィ残党のIS」と呼んでいる。

カダフィ派の処遇が鍵を握る

 ただし注意しなければならないのは、シリア、イラクのISにもサダム・フセイン政権時代の軍人・諜報機関員・バース党員が数多くいる点である。リビアのカダフィ派も彼ら同様、反欧米思想を持ち新体制下には居場所がない。この点にISが目をつけ、まだシルテに来ていないその他のカダフィ残党も呼応すれば、シリア、イラクの再現も考えられる。逆に言えば、今後のカダフィ派の処遇が鍵を握っているということだ。

 実際、シルテはデルナから追放されたISが移動後、地場のカダフィISとの共闘により夏ころ制圧された形である。2015年12月初旬現在のIS戦闘員は1500人だが、内訳をみると「カダフィ残党のIS」700人、デルナからの移動者などのIS戦闘員800人だ。

 折しもリビアの東西政府は12月17日、国連の仲介で統一政府を創設することで合意した。新政権がカダフィ派をどのように処遇することになるのか注目したい。


  
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畑中美樹(はたなか・よしき)

国際開発センター エネルギー・環境室研究顧問

富士銀行、中東経済研究所などを経て現職。著書に『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)ほか。

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