BBC News

2016年1月22日

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英内務省の公開調査委員会は21日、2006年にロンドンで起きたロシアの元情報将校アレクサンドル・リトビネンコ氏の毒殺事件について、ロシアのプーチン大統領が殺害を「おそらく」承認していたとする調査結果を発表した。

報告書は、プーチン大統領とリトビネンコ氏の個人的な「対立」が、大統領が毒殺を承認した理由のひとつだろうと指摘している。死亡当時43歳だったリトビネンコ氏の体からは、放射性物質ポロニウム210が検出された。

テレサ・メイ英内相は、暗殺は「あからさまな(国際法違反)行為で認められない」と批判した。

一方でロシア外務省は、「純粋に刑事事件であるはずのものが政治問題にされ、二国間関係の全体的な空気に影響していることを残念に思う」と逆に批判した。

インタファクス通信によると、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、ロシア政府の正式な反応は外交ルートを通じて伝えられると述べた。

デイビッド・キャメロン英首相は、シリア問題を解決するため英国がロシアと「なんらかの外交関係」を維持する必要があるものの、「くもりのない目と非常に冷たい心で」対応すると述べた。

以前から高い関心を集めていた今回の報告書では、ロシア人のアンドレイ・ルゴボイ容疑者とドミトリー・コフトン容疑者がロンドンのホテルでリトビネンコ氏の飲み物にポロニウム210を混ぜ毒殺したと断定した。

公開調査委員会を率いたロバート・オーウェン判事は、この2人が暗殺を実行したのは「確か」だとし、おそらくロシアの情報機関である連邦保安庁(FSB)の指令の下で行われ、FSBのニコライ・パトルシェフ長官とプーチン大統領が承認していただろうと語った。

また、暗殺の動機については、リトビネンコ氏が英国の情報機関のために活動したことや、FSBやプーチン大統領に対する批判や反体制派への関与を挙げた。

「メッセージを送るため」

同判事はさらに、リトビネンコ氏とプーチン大統領との間の対立には「間違いなく個人的な側面があった」と述べた。

報告書は、原子炉からしか得られないポロニウム210が毒殺に使用されたことは「どう見ても国家の関与を強く示唆する」と指摘している。

リトビネンコ氏を即死させるのではなく、放射能で緩慢に死亡するようにしたのは、「メッセージを送る」ためだったかもしれないという証言もあった。

メイ内相は英下院への説明で、キャメロン首相が「可能な限り早期に」プーチン大統領に報告書の内容を問いただすと述べた。内相は、ルゴボイ氏とコフトン氏への国際指名手配は継続されており、英政府は両氏の資産を凍結すると述べた。両氏はリトビネンコ氏殺害を否定している。

英当局は両氏への事情聴取をロシアに求めているが、ロシア政府は引き渡しを拒否している。

ロンドンの高等法院前で会見したリトビネンコ氏の妻マリナさんは、「夫は死の床でプーチン氏が関わっていると言った。その言葉が英国の裁判所で証明された」とし、「とても嬉しい」と語った。

マリナさんは英国政府に対して、ロシア情報機関の協力者全員を国外退去させ、ロシアに経済制裁を科し、プーチン氏を入国禁止にすべきだと訴えた。

モスクワでは――オレグ・ボルディレフ記者

ロシア政府は長年、リトビネンコ氏殺害に高官は関与していないと主張してきた。今回プーチン大統領自身が暗殺事件と関連付けられたものの、政府のスタンスは変わっていない。

オーウェン判事の「可能性が高い」という言葉を材料に、ロシアの支配層で2番目に高い位置にいる人々、主に政権支持派の議員たちは、報告書全体が政治的な意図を持ったでっち上げだと主張する。

ロシアのソーシャルメディアでは、ロシア語で「たぶんプーチンが承認」(#ПутинВозможноОдобрил)という意味のハッシュタグが作られた。これを使ってあらゆる犯罪をプーチン氏の承認よるものだとして、報告書をからかっているのだ。

FSBの元長官で現在は連邦下院議員のニコライ・コバレフ氏は、英露関係がこれ以上悪くなる余地はないとして、報告書が関係を損なったりはしないと指摘した。

(英語記事 President Putin 'probably' approved Litvinenko murder)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/35379006

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