2024年4月19日(金)

坂本幸雄の漂流ものづくり大国の治し方

2016年2月17日

 そのためには、トップが現場の生の声に耳を傾ける必要がある。エルピーダでは毎日17時から工場と技術センター、本社をつないでテレビ会議を開き、私も必ず出席していた。30人程度のエンジニアが顔を揃え、工程の手直しなど現場の不都合についてなんでも話し合うようにしていた。

iStock

 この会議で「歩留まりがどうしてもよくならないが、20億円かかる装置を導入すれば解決する」という提言が上がってきたとき、私はその場でOKを出した。歩留まり損の金額の大きさが頭に入っていたからだ。その決定にNECや日立の出身者は驚いていた。それらの企業では数カ月に一度しか開かれない投融資会議を通さなければならない、ということだった。

 日本がDRAM市場で世界シェアの8割を握っていた時代は4年に1回新製品を出せばよかった。毎年新製品を出さなければいけない状況となって日本企業は弱体化した。

 時間軸が短くなる市場の中でトップが即断即決するためには、トップと現場のコミュニケーションを円滑にする必要がある。そのためには無駄な管理職や部門を廃し、トップ自身が市場の「数字」に強くならなければならない。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る