BBC News

2016年2月1日

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シリアの首都ダマスカス南で1月31日、イスラム教シーア派寺院サイエダ・ゼイナブ廟の近くで爆発が相次ぎ、少なくとも50人が死亡した。爆発でバス停と複数の車両、建物が被害を受けた。建物には軍の司令室があったという。寺院そのものは被害を受けていない。

過激派勢力「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。

自爆攻撃犯2人による犯行とされるが、中には爆発は3回だったと言う目撃者もいる。

サイエダ・ゼイナブ廟には、預言者ムハンマドの孫娘の墓があり、内戦にもかかわらず今でも多くのシーア派教徒が巡礼に訪れる。

現場で取材するBBCアラビア語のラミ・ルハイェム記者によると、爆発で黒焦げになった5階建ての建物の1階には軍の司令室があるほか、複数の家族が暮らす集合住宅でもあったという。周りでは多くの車両が焼かれ、道路の中央ではバスが大破し横転している状態だという。

シリア内戦については、和平協議がジュネーブで同日始まったばかり。欧州連合(EU)は、爆発はこの協議を妨害しようとするものだと見方を示した。

シリア政府と反政府勢力はジュネーブに集まっているが、本格協議はまだ始まっていない。反政府勢力は、政府がまず主だった人道的要求に応じなくてはならないと主張している。

ケリー米国務長官は双方に、流血沙汰を終わらせるこの機会を生かすよう呼びかけた。ケリー長官は、今回の国連主導の協議が過去の話し合いのように破綻すれば、中東地域全体が紛争に巻き込まれる恐れがあると警告し、悪化する危機に「軍事的な解決法」はあり得ないと強調した。

国連のデミストゥラ特使はジュネーブで1日に双方と個別に協議する予定だ。

EUのフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表は、爆弾攻撃は「明らかに(ジュネーブで)政治プロセスを開始しようとする努力を妨害しようとするものだ」と批判した。

和平協議は出だしから混乱した。シリア政府代表団が1月29日にジュネーブに到着し、デミストゥラ国連特使と予備協議を行ったものの、サウジアラビアが支援する反政府主流派の最大組織「高等交渉委員会(HNC)」がやっと出席に合意したのはその数時間後だった。

HNCに対してはサウジアラビアと米国が、出席するよう相当の圧力をかけていた。

主要当事者の間の対立は依然として厳しく、シリアのバシャール・アル・ジャアファリ国連大使は、HNCの態度は「真剣でない」ことの表れだと批判した。

ジャアファリ大使はさらに、サイエダ・ゼイナブ廟への爆弾攻撃は、反政府勢力とテロとのつながりを示すものだと批判。その一方でシリア政府は、人道回廊の設置や停戦、捕虜の釈放など要求されている人道的措置は「もちろん」検討していると述べた。

シリアでは政府軍に包囲されたマダヤの町の住民が飢餓状態に陥るなど、人道的危機の緊急性が強調されており、HNCは人道措置の開始を和平協議の条件にしている。

ケリー米国務長官は、マダヤのように降伏するか飢えるかを住民に迫るような戦術は戦争法に真っ向から抵触するものだと、シリア政府の戦い方を単刀直入に非難した。

国連のデミストゥラ特使はBBCに対して、和平協議は「良いきっかけ」で成果を「前向き」に期待していると話した。協議は6カ月続く予定。

国連の潘基文事務総長は、協議の各当事者に自分たちの利害関係よりもシリア国民のことを考えるよう呼びかけた。

「特に子供や女性が戦いの犠牲になっている。今こそ戦いを終わらせ、戦争による人道侵害を終わらせなくてはならない」と事務総長は強調した。

出席者は―― シリア政府と反政府勢力「高等交渉委員会(HNC)」の代表。他の反政府勢力関係者は、アドバイザーとして招待された。

参加していないのは――シリアのクルド人組織「クルド民主統一党 (PYD)」(トルコはPYDをテロ組織とみなしている)。いわゆる「イスラム国」。ヌスラ戦線。

協議の議題は? ――停戦、捕虜の釈放、戦闘被害が最も甚大な地域への人道支援物資提供、ISの脅威。

(英語記事 Syria conflict: Dozens killed near Sayyida Zeinab shrine)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/35457003

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