定年バックパッカー海外放浪記

2016年4月10日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

 [ベトナム・カンボジア・ラオス・タイ]
(2014.10.25-12.29 65days 総費用18万円)

予習・復習、勉強熱心なジュリエット

 11月10日 朝9時に待ち合わせ、昨日と同じ屋台に行く。それぞれ昨日と異なる麺を注文する。ジュリエットはパクチーが苦手で丁寧に除けて麺を食べる。麺を食べ終わってサービスの蓮の花のお茶を飲んでいると、いきなり有島武郎についてジュリエットは話し出した。昨夜、スマホでチェックしたらしい。また昨日話した19世紀の陶器の貿易もスマホで調べたらしい。それに英単語も今日の会話を想定して予習してきた様子ですこし難しい言い回しをしている。

ホイアン郵便局で宛名書きするジュリエット

 昨日私がヘミングウェイを好きだといったのでヘミングウェイの伝記、作品の粗筋などを調べた様子だ。≪誰がために鐘は鳴る≫の舞台背景となったスペイン内戦まで調べてきたことに驚いた。どうしてそんなに一生懸命調べるのかと尋ねると「いくら話しても話し足りないくらいお話したいことがあるので時間を無駄にしないように勉強しました」と言う。「≪誰がために鐘は鳴る≫になぜ感銘を受けるのか、それは勿論主人公ロバート・ジョーダンの英雄的行動に胸を打たれるからだ。ではなぜ彼の行動に感動するのか、それはスペイン内戦時代を実際に自分が生きているように読者が錯覚してしまう詳細な描写がストーリーにリアリティーをもたらしているからだと思う」と自分なりの読み方を披露すると「よく分かります。下調べしておいてよかった」とニッコリ。

70億分の1の運命の人

 どんな小説を読んでいるのかと聞かれて「仕事を辞めてからの僕の第二の人生の目的は自分の世界を広げることなんだ。地理的な世界を広げるためにバックパッカーをして未知の世界を歩いている。他方で過去に自分の世界を広げるために、すなわち過去の歴史を知るために本を読んでいる。生きた歴史を知るには過去の優れた作家の作品を読むのがベストだと思う。19世紀のロシアを仮想体験するにはトルストイやドフトエフスキーを読むのが一番だと思う。そういう観点から自分が知りたい時代や国・地域に関する過去の偉大なる作家の作品を選んで読むことにしている」と答えた。

 文学の話を延々と話しているうちに映画に話題が移り、これまで観た映画で最も印象的な映画は何かと聞いたところ≪存在の耐えられない軽さ≫とジュリエットは答えた。これには正直驚いた。私も商社勤務時代のイラン駐在中に日本から送ってもらったビデオで観たことがある。プラハの春の前後の時代に生きた若い外科医とその女性関係を描いた作品と記憶している。

 共産主義体制下で生きる知識人の苦悩という観点から1990年頃のイスラム法体制社会という西欧的自由を制限された社会と比較して作品を観た記憶がある。そんな感想を彼女に伝えた。興業的には成功したとは言えない非商業主義的な作品なのでジュリエットがこの映画を観たこと自体に驚いた次第だが、他方彼女も私がこの作品を観たことに驚いていた。

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