赤坂英一の野球丸

「松坂大輔」は良い買い物 ソフトバンク孫オーナーの本音

赤坂英一 (あかさか・えいいち)  スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。主な著書に『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『広島カープ論』(PHP研究所)など。

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ジャーナリスト赤坂英一による野球日記。現場目線で、野球の今を深読みしていく。

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 4年ほど前、ソフトバンクの元球団幹部にこんな話を聞いたことがある。あるとき、孫オーナーがその元幹部にこう尋ねた。

 「いま、メジャーで一番いい選手は誰かね」  

 元幹部はこう答えた。

 「そうですねえ。デトロイト・タイガースのミゲル・カブレラでしょう。メジャーで45年ぶりに三冠王となったくらいですから」

 「そのカブレラは、いくら払えばホークスに来てくれるだろうね」  

 単なる雑談だと思った元幹部は、苦笑しながら軽い調子でこう答えた。

 「さあ、200億円か300億円か……」

 すると、孫オーナーはこう聞き返した。

 「それだけ払えば、本当に来るんだな」

 どこまで本気だったかはわからない。が、冗談で言っているわけではなかったのだ。孫オーナーとはそういう人物なのである。これほど剛胆で太っ腹で気前のいいオーナーは、恐らく大リーグにもそうはいないだろう。

松坂は終わったのか?

 松坂に対して、少々皮肉っぽいことばかり書いてしまった。しかし、私自身は今年こそ松坂に復活してほしい、と切に願っている。

 松坂がボストン・レッドソックスで投げていた2008年、私はフェンウェイパークで彼が当時日本人最多タイ記録となる16勝目を挙げたゲームを見せてもらった(同年8月29日、シカゴ・ホワイトソックス戦)。それも松坂の招待席で、バックネット裏の前から3列目、ホームベースの真後ろという最高の特等席である。8回2安打無失点という内容は、松坂のメジャー時代でベストに近いピッチングだったと言っていい。決して大げさではなく、私にはそのとき、松坂自身が眩しいまでの光を放っているように見えた。

 いまのソフトバンクの先発陣に割って入ることは容易ではない。もう松坂は終わったという声も聞かれる。しかし、私はもう一度、あのボストンの夜の輝きを見たい。


  
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赤坂英一(あかさか・えいいち)

スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。主な著書に『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『広島カープ論』(PHP研究所)など。

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