2024年4月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年2月12日

 合計350隻で、年240億ドルの建造費がかかる。2045年までに350隻の目標を達成するには、海軍の造船予算に毎年75億ドル追加する必要がある。中国の建造計画、世界の他の挑戦を考えれば、30年以内により規模の大きい艦艇が必要とされよう。

 これは確かに高価であるが、世界における米海軍の優位を譲るよりは安い。中国の海軍力増強を考えれば、このままでは米国の海軍力の優位は危うい。

 米国は種々の脅威が増しているのに後退はできない。

出 典:Seth Cropsey‘S.O.S. for a Declining American Navy’(Wall Street Journal, January 6, 2016)
http://www.wsj.com/articles/s-o-s-for-a-declining-american-navy-1452124971

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艦艇増強は必要経費

 この論説のキー・フレーズは、提案の米海軍力増強計画は高価であるが、米国の世界における海軍の優位を譲るよりは安いという文言です。

 確かに、空母を現在の11隻から16隻に、潜水艦を2020年までに現在の見通しの70隻を上回る90隻にし、さらに米艦隊の背骨である大型水上戦闘艦を少なくとも100隻にして、艦艇数全体を現在の272隻から350隻に増やすという計画は高くつきます。

 しかし、中国の海軍力の増強に直面し、このような艦艇の増強をしないと、世界における米海軍の優位が失われてしまうのであれば、優位を保つための必要経費と考えようということです。それはその通りでしょう。世界における海軍力の優位が米国から中国に移れば、パックス・アメリカーナの終焉であり、その戦略的意味合いは計り知れません。米国はなんとしてでも、そのような事態の到来は避けるべきであり、米議会は強制削減を含む国防費の削減の戦略的意味を真剣に考えるべきでしょう。

  
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