2024年4月20日(土)

報道にはすべて裏がある

2016年2月16日

 韓国が頼みとするもう一方の国、中国はどうだろう。知人である日本メディアのソウル特派員に話を聞いてみた。

朴槿恵の電話会談に応じなかった習近平

 「青瓦台(=大統領府)は、北朝鮮が1月6日に核実験に踏み切った際に、習近平国家主席が朴槿恵大統領の再三にわたる求めにもかかわらず電話会談にすら応じてくれなかったことにかなりショックを受けたようです。国防相間のホットラインも全く機能しなかったそうです。政権発足以来、米国や日本から疑念を持たれてまでも対中接近を進めてきたのは、中国に北朝鮮への圧力をかけてくれることを期待してのものです。ところが、肝心の時に相手にもされない。自尊心の強い韓国人には堪えたはずです」

 そのせいであろう、韓国政府は米国が長らく求めてきた地上配備型の迎撃システム・終末高高度ミサイル(THAAD)の配備に応じる構えを示した。このシステムは、北朝鮮のミサイルを迎撃するためのものだが、中国は自国のミサイルの迎撃にも使われる可能性があるとしてこれまで配備に応じないよう韓国に圧力をかけてきたとされる。

 その途端に中国共産党の機関紙『人民日報』の姉妹紙である『環球時報』は「それ(THAAD配備)によって生じる代償を払う準備をすべきだ」と脅し(1月27日付社説)、これに『朝鮮日報』が「中国はTHAADを口実に韓国を脅すな」というコラムを掲載して猛反発した。かつて韓国の尹炳世外相は「米中双方からラブコールを受けるのは悩みのタネやジレンマではなく祝福」と発言したが、米中双方にいい顔をしようとした朴政権の外交のツケが回ってきたというべきか。


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