イノベーションの風を読む

2016年2月17日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

 昨年12月にブロックチェーンへの取り組みを発表して、それまで300円程度だった株価が2000円まで高騰して話題になった「さくらインターネット」が、今度は「さくらのIoT Platform」という新しいサービスを発表した。

 IoTのためのモバイル通信サービスを提供する事業者については、このコラムでもソラコムやパナソニックを取り上げて紹介してきた。それらはMVNOと呼ばれ、NTTドコモなどの携帯キャリアのネットワークを借りて、独自のデータ通信サービスが利用できるようにしたSIMを再販する。

 「さくらのIoT Platform」とは何なのか、ソラコムやパナソニックのサービスとは何が違うのか。その技術面とビジネスモデルの特徴と、目指すビジョンについて考えてみた。 さらに、それぞれの項目について個人的な期待度とその現時点での達成度についての勝手な評価を☆で表してみた。

モバイルもインターネットも意識しないIoTの実装

 モバイル通信(SIM)を利用してモノがインターネット上のサーバとデータやリクエストの送受信をするためには、LTEや3Gの通信モジュールを組み込み、PPP、TCP/IP、HTTPといったインターネットのプロトコルによってサーバと通信する必要がある。インターネット上でセキュリティを確保するためのSSLの実装も、コンピュータの力が貧弱なことが多いIoTデバイス(モノ)にとっては負担が大きい。

IoTのデータ送受信(筆者作成)
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 「さくらのIoT Platform」が提供する通信モジュールをモノに組み込めば、センサーで取得したデータを簡単なコマンドで通信モジュールに送るだけでよくなる。データは通信モジュールから「さくらのIoT Platform」のクラウド上に送られて蓄積され、モノを管理・運用する事業者(以下、IoT事業者)のサーバからAPIでアクセスすることができる。サーバ側からモノにリクエストを送る場合は逆の流れになる。

 モバイル通信もインターネットも意識しないで、モノをインターネットにつなげることが可能になるわけだ。通信モジュールとクラウドの間はセキュリティが確保されたモバイル通信網でつながっているので、通信をIoTに最適化することなども可能と思われるが、その辺もモノをつくるメーカは気せずに「さくらのIoT Platform」に任せることができる。

「さくらのIoT Platform」の仕組み(筆者作成)
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 さくらのIoTの通信モジュール用には、ソフトバンクとソラコム(NTTドコモ)のSIMが用意されている。しかし後述するように通信自体には課金されないので、モノのメーカは2つのSIMをどのような基準で選択したらよいのだろうか。

【IoTの通信モジュール用として】
期待度 ☆
達成度 ☆☆☆

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