オトナの教養 週末の一冊

医学界を果敢に改革した第一人者が語る「正論」
『患者さんに伝えたい医師の本心』

足立倫行 (あだち・のりゆき)  ノンフィクションライター

早大政経学部中退後、週刊誌記者などを経てノンフィクション作家に。近著に『血脈の日本古代史』(ベスト新書)『倭人伝、古事記の正体』(朝日新書)。

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髙本眞一(Shinichi Takamoto)
1947年兵庫県生まれ。東京大学医学部卒業。公立昭和病院心臓血管外科主任医長や東京大学医学部胸部外科教授などを歴任。2009年より三井記念病院院長。

 「正しく生きよ」の教えはクリスチャンの母親から学んだ。高校2年の時に、海外で無医村の医療活動を実践した岩村昇医師の講演を聞いて医学部進学を決めたが、その直後に自身も受洗しキリスト教徒になった。

 「他にも、現在の医療事故調査・支援センターの原型を作るなど医療改革の業績が数多(あまた)ですが、最大の成果といえば何でしょう?」

 「NCD(ナショナル・クリニカル・データベース)の設立ですかね」

 髙本さんが、専門家によるリスク調整を経た手術成績をデータベース化し始めたのは2000年。日本初の試みだったが、当初は心臓外科手術のみで参加施設も全国で5カ所。

 それが現在は外科関連の10学会、全国4661施設が参加するデータベースへと成長した。日本のほぼ全外科手術の症例が登録されており、多くの国際学会で研究対象となっている。

 「医学的根拠のあるデータの集積は、専門医の資格審査に役立つだけでなく、個々の医師の技術向上にも有益で、何より日本の医療の質を上げることに貢献できます」

 「聞けば、厚労省も近い将来に全科で症例のデータベース化を検討しているとか?」

 「ええ。やはり情報は力ですからね」

 NCDも髙本さんの海外視察が発端だった。アメリカの先駆的なデータベース事業を「日本でも必要」と感じたのだ。信念の力恐るべし、である。

  
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◆Wedge2016年2月号より

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著者

足立倫行(あだち・のりゆき)

ノンフィクションライター

早大政経学部中退後、週刊誌記者などを経てノンフィクション作家に。近著に『血脈の日本古代史』(ベスト新書)『倭人伝、古事記の正体』(朝日新書)。

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