バービー人形も3Dプリンターで


土方細秩子 (ひじかた・さちこ)  ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

WEDGE REPORT

時間軸の長い視点で深く掘り下げて、世界の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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3Dプリンターは学校、職場などで様々な用途に使用されているが、ついに大手玩具メーカーが3Dプリンターを使った「オンデマンド」の玩具販売に踏み切ると発表した。

マテル社のウェブサイトより

 米マテル社はバービー人形で有名な世界最大規模の玩具メーカー。創業は1945年、2015年の販売総額20億ドル、という巨大企業だ。そのマテル社が、今年10月に「キッズ・フレンドリー」な3Dプリンターを販売、顧客はデータをダウンロードすることにより自宅でプラスチック製玩具をプリントアウトできる、という販売方法を開始する。

 同社は60年代に子供がプラスチック粘土で成形したものを自宅で焼ける子供向けオーブン「シング・メーカー」を販売していたが、その21世紀版になる。名称も同じくシング・メーカーとなる予定だ。

 3Dプリンター「シング・メーカー」はすでにアマゾンで予約が開始され、299ドルの価格で販売される。購入するとiOSまたはアンドロイドのアプリを使ってテンプレートをダウンロードし、プリンターで人形、恐竜、装身具、ロボットなどのプラスチック製玩具が自分でプリントアウトできる。部品はカスタマイズでき、好きなオプションをつけて「自分だけ」のデザインを作り出せるところが売りだという。使用するプリント用プラスチック(フィラメント)によって様々な色で欲しい玩具を子供が自分で実現できる。

 3Dプリント用ソフトウェアを製作するのは、3Dデザイン、CAD、エンジニアリングなどのサービスを提供するオートデスク社。アプリそのものはすでに存在し、別の3Dプリンターによってプリントアウト可能だ。

 マテル社は今回のプロジェクトについて「時代はデジタル化している。今はまさにこうした新しい試みを行うのに最適の時期」と語る。また、実際にシング・メーカーが市販されるまでの7カ月間、人々が提供されるアプリをどのように使うのかを観察し、それを実際の製品に反映させていく、という。販売時期が10月なのは、おそらくクリスマス需要に合わせたものだろう。

 3Dプリンターの家庭への普及はまだまだだ。問題点として「価格が高い」「重い」「プリントアウトが遅い」「使い方が複雑」などが挙げられる。300ドルを切る価格で子供でも使える簡単なアプリとプリンターの操作を提供することで、3Dプリンターを気軽に誰もが使う時代に備える、というのもマテル社の狙いのひとつだ。

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土方細秩子(ひじかた・さちこ)

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ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

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