石油を読む

2016年2月25日

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 原油価格が30ドル近辺をフラフラ。石雄太郎は、波乱万丈の石油・エネルギーの世界を「価格の決め方、決まり方」という切り口からご案内しています。筆者はここに、ほんとうに長く住んでいるものだから、この世界の基本的な構造が見える。

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石油供給者の連鎖

 表題のとおり「石油価格は供給側が決める」という基本中の基本、についてお話ししたい。ただし、現物石油価格の場合です。

 ここ数カ月の相場の崩落は、いろいろに解説される。OPECカルテルが力を失った、北米のシェール原油生産者たちがしぶとく生き残っている、アメリカの原油在庫水準は”ジャブジャブ”で、貯油能力の限界だ、イラン経済制裁が解除されて生産を回復させるだろう。いや、ISのテロが原油生産・出荷設備に向かえば、突然の供給トラブルが起こるかも、サウジ・イラン間の緊張……。

 ご覧のように、これらの説明ぶりは供給サイドの事情を取り上げたものだ。いや、中国経済の減速による中国国内石油需要の低迷が原因だ、という話があるではないか……。そうですね、中国国内に石油製品を供給している中国の製油所が、短中期的な需要低迷を見越して原油購入を手控えている、という観察はあります。でも、このお話も石油製品を供給する精製企業にかかわる話ですね。

 つまり石油の世界は、石油の供給者たちの世界と、石油製品を使う最終需要家たちの世界とが、きっぱりと分かれている。供給者とは、世界市場に原油を供給する産油国と、原油を精製処理し世界市場に石油製品を供給する精製企業、そして、石油製品を国内供給する流通企業に分かれる。最終需要家に石油製品を販売するのが流通企業である。これが石油のバリューチェーン。

 原油と石油製品とを総称して「石油」といいます。そして、現物の石油価格は市場で上述の供給者たちが決めている。最終需要家は価格決定に関与するチャンスは、ほぼ無い。なぜか?

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