石油を読む

現物石油価格決定の裏事情 相場崩落の原因は供給サイドにあり?

石 雄太郎 (せき・ゆうたろう)  石油アナリスト

石油・エネルギー専門家 ビジネスの実務から政策研究まで幅広い活動を行っている。

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石油製品の世界

 最終需要家に石油製品を販売する国内流通企業のビジネスを見てみよう。
精製企業が原油を製油所で精製すると、大まかに以下の図の工程で、石油製品ができる。LPガス(LPG)、ガソリン、ナフサ、灯油、ジェット燃料、軽油、重油やアスファルト。精製企業は流通企業に石油製品を卸し、流通企業が最終需要家に小売販売をする。

 さて、これら石油製品のなかには、電気、都市ガス、石炭などの他のエネルギー製品と利用用途で競合するものがある。つまりLPGは、台所で都市ガスやIH調理器と競争する。居間を暖房する灯油は、ガスストーブやエアコンと。重油は発電所でLNGや石炭やソーラーやらと。ガソリンや軽油だって、電気自動車やLPGや天然ガスを燃料にして走る自動車と競争するのだ。

 だから最終需要家としては、石油製品の価格と電気や都市ガスの価格とを比較して、賢く選んで買い、石油製品市況を牽制できるのではないか。

価格変化と需要変化

 が、すこし考えてみればわかるだろう。

 ガソリンスタンドに入ってガソリンを買うドライバーは、このところ(2016年2月)「おぉ、リッター100円! 半年前は140円だったのに、ずいぶん安くなったものだ」と、感慨深い。けれども普通のドライバーは、それじゃひとつ遠回りして長距離ドライブをしよう、とは思わない。ガソリンが高いときも乗り控えることはなかった。つまり、ガソリンの消費は価格レベルに感応しないのだ。

 という筆者の説明に対して、するどい反撃がとどいた。「アメリカの場合だと、ガソリン価格が安い際には大型車が売れるといったこともあり、ガソリンの消費が価格レベルに感応しないとも言い切れないでしょう!」

 ……なるほど。大排気量エンジンで燃費が悪いゴツい大型車(ピックアップトラック)が、売れ行き好調なんですね。でも、もう少し考えてほしい。合衆国には2億5000万台の自動車があって、毎年1600万台新車が売れる。平均すれば15年で買い換える。道路上に走っているすべての車(新車から30年落ちまで)の走行距離と燃費を全体で平均すると、ガソリン価格の短期変動はアメリカ国内全体の需要に感応しないんです。

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石 雄太郎(せき・ゆうたろう)

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