オバマと鳩山 
互いをなんとかマネージする


特別企画 海外はオバマ訪日をどう見ているか

海外のアジア通は、今回のオバマ訪日をどう見ているのか。
国際的な視点から、オバマ訪日を鋭く、タイムリーに分析する。

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 筆者クリストファー・ネルソン氏は本人も覚えていないくらい昔からワシントンにいて当初は日米摩擦に関する話題を、今日では広く米国のアジア政策についての話を、人事のゴシップから政策の行方に関するまで硬軟取り混ぜ毎夜書いては配信するニューズレターを続けている。
新聞を読まなくてもこれだけは読むという外務省関係者がいるくらい、各国外交当局にもそういう人たちがいるだろう。米国のアジア政策に関心がある人で、もしネルソン・リポートを知らなければ「もぐり」だといわれかねない。南北戦争の史実探求と、模擬戦闘に従事するのが趣味。白い豊かな髭に加え、立派な腹囲は、往時の軍服をますます似合わせている。
長らく、米国のアジア政策を観察してきたネルソン氏が見るオバマ訪日とは?

  米国に対してより対等な立場の日本、より独立すらした日本を夢見る民主党だが、どんな首相であれ、外交政策における最初の仕事は対米関係を巧みに操ること――。厳しい現実に鳩山由紀夫首相が気づいたのは、新しいオフィスのカギをどこに置いたっけ、とうろちょろしないといけないような、それこそまだ就任間もない頃だった。

  だが、物議を醸す見出しが飛び交っているにもかかわらず(わたしのネルソン・リポートもここでは1つ、2つ罪を認める・・・スミマセン!)、麻生太郎首相の後とあって、実は鳩山サンの仕事が見た目ほどには難しくないと聞かされたら、WEDGEの読者は驚かれるだろうか。

 何しろ、今年初めにバラク・オバマ大統領が就任するや否や、最初の日からと言っていいけれど、大統領と国家安全保障会議(NSC)のスタッフには麻生首相と日本を特別扱いするよう絶え間のない圧力がかかった。ホワイトハウスのスタッフはすぐに、電話が鳴るたび4文字の罵り言葉をつぶやく羽目になったくらいだ。

 米国の苛立ちを一層強めたのは、本質的な議案が一切提示されなかったことだ。中身のある議題は何もなし。日本側の要請とはひたすら、「愛して、ハグして、みんなの前で」の一点に尽きることを、関係者はすぐ知ることになる。

 もちろん、麻生首相と自民党にとってオバマ大統領との会談がどれだけ大きな意味を持つか知らない人は誰もいなかった。当時でさえ自民党は、その時点では新政権の首相候補と目されていた小沢一郎氏率いる民主党に分がありそうな戦いを強いられていたからだ。

 それでも麻生政権が代表するのは厳然たる日本政府であり、ゆえに麻生首相は、今なお日米同盟と日米関係全体に要求される尊敬と体面を与えられて然るべき立場にいた。そのため、日本政府の姿勢は嫌がられたものの、理解はされた。

 「外国首脳による最初のホワイトハウス訪問」の栄誉を麻生に与えろというオバマ大統領への圧力は凄まじかったが、オバマ大統領の個人的な感情にとどめの一撃を与えたのは、北朝鮮制裁に関する国連安全保障理事会の最初の議論の直後の出来事だった。

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