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2016年2月29日

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第88回アカデミー賞の授賞式が28日、ロサンゼルスで行われ、6度目のノミネートとなるレオナルド・ディカプリオさんが初のオスカーを手にした(以下、敬称略)。作品賞は、米カトリック教会による児童性的虐待とその隠蔽を暴露報道したボストン・グローブ紙を描いた「スポットライト」が受賞した。

監督賞は「レヴェナント 蘇えりし者」のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が、昨年の「バードマン」に続き2年連続して受賞した。

「レヴェナント 蘇えりし者」でディカプリオが主演男優賞を、「ルーム」でブリー・ラーソンが主演女優賞をそれぞれ受賞。助演男優賞は「ブリッジ・オブ・スパイ」のマーク・ライランス、助演女優賞は「リリーのすべて」のアリシア・ビカンデルが獲得した。

「レヴェナント」からはエマニュエル・ルベツキが撮影賞を受賞。「ゼロ・グラビティ」、「バードマン」に続く3年連続の快挙となった。

衣装デザイン賞や編集賞、美術賞など6部門受賞の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が最多受賞だった。

歌曲賞には、サム・スミスによるボンド映画「SPECTRE」の主題歌「The Writing's On The Wall」が選ばれた。

過去に助演男優賞で1回、主演男優賞で3回、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のプロデューサーとして1回、ノミネートされながら受賞を逃してきたディカプリオは、6度目の正直でついに受賞。その名前が呼ばれると会場の全員が立ち上がり、スタンディング・オベーションを捧げた。

壇上でディカプリオはイニャリトゥ監督と共演者トム・ハーディ―の才能や友情に感謝した上で、「気候変動は本当です。いま現実に起きている」と述べ、対策の必要性を強調。「レヴェナント」は「人間と自然界の関係」を描いた作品だと語った。

「(気候変動は)人類が直面する最も緊急の危機です。みんなひとつになって行動して、時間を無駄にするのを止めなくては」とディカプリオは呼びかけ、「環境汚染の大きな原因となっている連中や大企業の意向を代弁しない世界の指導者を、支えてください。人類全体のため、世界各地の先住民のため、この問題で影響を受ける何十億もの不遇な境遇の人たちを代弁する指導者たちを、支えてください」と訴えた。

「ギルバート・グレープ」で22年前に助演男優賞に初ノミネートされ、今回初受賞となったディカプリオはさらに「この惑星があって当たり前のものだと思わないようにしましょう。僕も今日のことを、当たり前のものだとは思っていません」と語りかけた。

今回のアカデミー賞は、演技部門の候補が全員白人だったために「白すぎる」と批判された。そのなか、監督賞を受賞したイニャリトゥ監督は「自分たちの世代が、あらゆる偏見から解放される素晴らしい機会だ」と言い、人の肌の色など「その人の髪の長さくらい、関係のないもの」であるべきだと述べた。

イニャリトゥ監督は昨年、「バードマン」で監督賞、脚本賞、作品賞を受賞している。

エマ・ドノヒューの同名小説を原作にする「ルーム」で、誘拐監禁された母親を演じたラーソンは、幼い息子役のジェイコブ・トレンブリーをはじめ関係者全員に感謝し、「映画作りで何が好きって、映画を作るには大勢の力が必要なところです。映画ファンの皆さん、映画館に行って私たちの映画を観てくれてありがとうございます」とあいさつした。

信頼の復活を

作品賞を得た「スポットライト」は、マサチューセッツ州のカトリック教会が聖職者による児童性的虐待を隠蔽していた問題を、ボストン・グローブ紙がいかに報道したかを描く。

プロデューサーのマイケル・シュガーは、「この映画は被害者に声を与えた。オスカーはその声をさらに大きくしてくれる」、「この声が大合唱となって、いずれバチカンまで届くことを願っている。フランシスコ法王、子供たちを守り、信頼を復活させるべきです」と呼びかけた。

マーク・ライランスは、スピルバーグ監督の冷戦スパイ映画「ブリッジ・オブ・スパイ」で、実在したソ連の情報将校を演じて助演男優賞を獲得。シルベスター・スタローンが受賞するのではと言われていた部門で、番狂わせとなった。

英演劇界を代表する名優の一人のライランスは、「僕は昔からともかく物語が大好きだった。物語を聞いて、観て、その中にいるのが。なので当代最高の語り部の一人、スティーブン・スピルバーグと一緒に仕事をする機会を与えられて、とてつもなく光栄でした」とあいさつした。

ボンド映画「スペクター」の主題歌をジミー・ネイプスと作曲し、共同受賞した歌手サム・スミスは、オスカー像を手にすると「息ができない」と興奮した様子を隠さなかった。

スミスは「前にサー・イアン・マケレンが、ゲイとしてカムアウトしている男がオスカーを得たことはないと書いている記事を読んだことがある。もし本当にそうなら、もしそうじゃなかったとしても、この賞を世界中のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人たちに捧げます。僕は今ここに、ゲイの男性として誇りをもって立っています。いつの日か誰もがみんな一緒に立てるようになってほしい」と語った。

「リリーのすべて」で初受賞したスウェーデン出身のアリシア・ビカンデルは、主演のエディー・レッドメインと両親に感謝した。

「エディー、最高の共演者でいてくれてありがとう。あなたがいなかったら、無理でした。おかげでより良い演技ができた。ママとパパ、どんなことでも可能だって信じさせてくれてありがとう。こんなことは想像もできなかったけど」

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で衣装デザイン賞を得たジェニー・ベバンは、オスカー像を手にすると「なんて素敵な日!」と映画のセリフを口にした。「マッドマックス」はほかに美術、ヘアメイク、編集、音響編集、音響の合計6部門を獲得し、最多受賞を達成した。

「マッドマックス」のキャラクターさながら、ラメ入りの革ジャンを着たベバンは、「ナミビアの砂漠で1年を過ごしました。素晴らしいスタッフに恵まれていました。素晴らしい経験だったけれども、マッドマックスは恐ろしい予言にもなり得る。お互いに優しくしないと。大気汚染を止めないと。なので、あり得ることなんです」と述べた。

「ファンのため」のエイミー映画

27歳で急死した英歌手エイミー・ワインハウスを描いた「Amy」(アシフ・カパディア、ジェイムズ・ゲイ=リース監督)が長編ドキュメンタリー部門で受賞した。

カパディア監督は「エイミーについてのこの映画は、タブロイド紙報道のエイミーではなくて、本当の彼女を世界に伝えるものです。本当の彼女がどういう人だったのかを世界に見せる映画が作りたかったなんです」とスピーチ。

ゲイ=リース監督はさらに「何があっても彼女のことが大好きだったファンのための映画です。エイミーにはそれで十分だった」と続けた。

映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネは、タランティーノ監督の「ヘイトフル・エイト」の音楽で、87歳にして初めてオスカー作曲賞を受賞した。

外国語映画賞はハンガリー作品「サウルの息子」が受賞。ナチス・ドイツの強制収容所にいる男性が、自分の息子だと思う少年を宗教儀式に則った形で埋葬しようとする姿を描いた。

大学構内での性的暴力問題を取り上げたドキュメンタリー「The Hunting Ground」の主題歌「Til It Happens To You」で歌曲賞にノミネートされたレディー・ガガは、バイデン副大統領の紹介でスタージに上がり、性的暴力の被害者たちに囲まれて演奏。会場のスタンディング・オベーションを受けた。

ハリウッドは人種差別するのか?

人種差別を批判された今回のアカデミー賞の司会は、黒人コメディアンのクリス・ロックだった。ロックは式典冒頭でいきなり、批判を真正面から取り上げた。

開会と同時に流れた記念映像について「少なくとも15人は黒人がいたよ」と切り出し、「白人が選びました賞にようこそ」とあいさつ。さらに「司会者もノミネートで選ぶなら、僕にはこの仕事は回ってこなかったよ。みんな今頃、ニール・パトリック・ハリスを観てたはずだ」と皮肉った。

「ハリウッドはレイシスト(人種差別主義者)か、みんな知りたがってる。問いかけるならちゃんとやらなきゃ。十字架を燃やすようなレイシストかって。それとも、『レモネードを持ってきてちょうだい』的なレイシストなのか。そうじゃない。レイシストといっても、種類が違う。ハリウッドはレイシストかって? もちろんだ。でもソロリティー的お仲間意識のレイシストなんだ」

(英語記事 Oscars 2016: Leonardo DiCaprio finally wins Academy Award)

(訳注・一部の人名は日本メディアで使われるカタカナ表記ではなく、原音に近いものにしています)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/35684956

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