2024年4月20日(土)

パラアスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2016年3月13日

留学がきっかけに

ゴール前の攻防

 そのキッカケとなったのはアメリカへの短期留学だった。異なる環境の中で自分自身と向き合う機会を得たことを契機に、物事に客観的な視点が加わり深く考えるようになっていったようだ。

 「1ヶ月間という短い留学だったのですが、とても強いインパクトをもたらしました。あの留学以降、いろいろな角度からサッカーの知識を得たいと考えるようになっていったのですが、いま思えば考え過ぎてしまったのかな、とも思っています」

 平賀は将来のことを考え抜いた結果、進学した大学ではサッカー部に籍を置かなかった。それはプレイヤーとしての視点ではなく、国内、海外を問わずサッカーに関するあらゆる知識を吸収したかったからだ。進学先は日本大学文理学部ドイツ語学科。理由は、ドイツを軸にサッカー界にコネクションを作ろうと考えたからである。以降、プレイヤーとしては趣味程度の関わりになっていった。

 「ヘタクソでもいいから、サッカー部に入るべきでした。大学のサッカー部はプレイヤーばかりではなく、いろいろな経験ができる役割がありますから、学ぶことは多かったはずなんです。ですが、当時はそこに気づけませんでした」

 しかし、平賀はこの大学時代に再び転機を迎えるのである。

 「それはドイツへの留学でした。高校時代のアメリカ留学よりもインパクトが大きくて、より深く自分の将来について考えるキッカケになりました。まさに人生の転機とも言うべきものです」

 日常とは異なる環境の中で見聞きした、様々な情報から刺激を受けることや、自分自身と向き合う時間を作ることの大切さを語っているのだろう。平賀は、「将来どのような職業に就いて、サッカーとどのように関わるか?」という自身への問い掛けに対し、高校時代よりも選択肢が具体的になっていた。

 「一時はスポーツライターにも憧れ、ドイツを軸に海外の動向を伝えるような記事が書きたいと思ったことがありました。そこで、観戦した試合のレポートを書く真似事をしたこともあったのですが、人生経験の少なさが文章に表れてしまうので、まずは広い知識と経験を得なければ、と考えました」


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