WEDGE REPORT

2016年3月12日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 ウィルシャー・グランド・タワーは70階部分にホテルロビーが設置され、ビル全体がガラス張りのため展望スペースになっている。こちらに観光客が吸い込まれてしまうのを防ぐためにも、バンクタワーには何か呼び物が必要だった。それがガラス張りの滑り台なのである。

 高さではシンガポールと韓国が争っているが、面積、投資額ではもちろん中国が圧倒している。中国はダウンタウンエリアにおよそ60億ドルを投資、ホテル、ショッピングセンター、コンドミニアム、オフィスなどの複合施設を複数建設中だ。今まさに「アジアパワーがロサンゼルスのスカイスクレーパーの風景を変えつつある」のだ。

高値で買って投げ売りするバカな投資

 1980年代、ロサンゼルスをはじめ米国のランドマークタワーを買い漁っていたのはバブル景気に沸く日本企業だった。ロサンゼルスでも当時高さナンバーワンだったボナベンチャーホテルが買収され話題となった。しかし日本企業による投資はその後ことごとく失敗、「高値で買って投げ売りするバカな投資」と笑い者になった。

 一方、韓国や中国の投資は土地を買収し、建設を行うことで雇用を生み出し、自治体や政府に恩を売る、という賢い投資だ。そのためダウンタウン中心部の3分の1が今や中国資本、という状況でも中国に対するバッシングはそれほど起きていない。

 ガラスの滑り台はアジア資本のロサンゼルスでの隆盛のシンボルだが、地域に溶け込み、観光客を呼び込もうという姿勢の現れでもある。

  
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