BBC News

2016年3月4日

米大統領選の共和党候補選びで最有力となっている実業家ドナルド・トランプ氏に対して、共和党幹部や重鎮たちが相次ぎ「偽物」「詐欺師」と批判する異例の事態になっている。さらに3日夜の討論会では、他の候補たちがトランプ氏を集中的に攻撃した。

2012年大統領選でオバマ大統領相手に敗れた共和党候補のミット・ロムニー氏は、トランプ氏を「でたらめ」「偽物」と批判。不法移民全員の強制送還やイスラム教徒の米国入国全面禁止など、トランプ氏が掲げる政策は、世界の安全を損なうと警告し、さらにトランプ氏は他人をいじめる、女性蔑視の強欲な人間だと強く非難した。

ほかにもポール・ライアン下院議長、2008年の大統領候補ジョン・マケイン上院議員などといった共和党重鎮や、国家安全保障委員会の関係者、歴代の閣僚経験者が次々と、トランプ氏の大統領候補としての適性を疑問視し、このままでは本選で民主党候補に敗れると危機感を表明している。

5日にはカンザス、ケンタッキー、ルイジアナ、メインの4州で共和党の予備選・党員集会が行われる。すでに15州のうち10州で勝利しているトランプ氏は、候補指名されるために必要な代議員計1237人の獲得にさらに近づきたい構えだ。

かつて17人いた共和党候補は、元外科医ベン・カーソン氏の事実上の撤退によって、現在では4人に絞り込まれた。

フォックス・ニュース主催の討論会で、トランプ氏はロムニー氏について「ダメな候補だった」と批判。しかしマーコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)はただちに反撃し、「『核の三本柱』を1980年代のロックバンドと思ってるような人に、保守運動を明け渡すつもりはない」とトランプ氏を攻撃した。

自ら創設した「トランプ大学」の破たんをめぐり民事で訴えられていることについて説明を求められたトランプ氏は、訴訟には勝てると受け流した。しかしこれに対してルビオ氏は「大勢の人をだまして金を巻き上げたみたいに、大勢の人から票を巻き上げようとしている」と痛烈に批判した。

これに対してトランプ氏はルビオ議員を「ちびのルビオ」、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)を「うそつきテッド」などと罵倒した。

トランプ氏は討論中に自分の手は小さくないと主張。ついでに自分の体の別の部分について冗談を飛ばした。

また米テレビ番組で有効なテロ対策にはテロリストの家族を殺すべきだと発言したことが「国際法違反だ」「最高司令官の命令でも軍は従わない」などと批判されているトランプ氏だが、討論会では改めて、テロリストの家族は危険だと強調。民間人殺害を命じられても「軍は拒否しない」と断言し、さらにテロ容疑者に対する水責めや拷問も問題ないと自説を繰り返した。

一方でルビオ氏とクルーズ氏、ならびにオハイオ州のジョン・ケーシック知事はいずれも、もしトランプ氏が党候補の指名を獲得したら、トランプ氏を支持すると表明した。

<分析> 「息を切らす共和党」 ローラ・ビッカー、ワシントン

ドナルド・トランプが集中砲火を浴びている。スーパー・チューズデー以来、所属する共和党から痛烈な批判を絶え間なく受けている。しかし今回の討論会でトランプ氏が少なくともひとつ、はっきりさせたことがある。トランプ氏の手は小さくない。

それ以外では、政策について態度が一貫しないことや事業の失敗、民主党候補を支持した過去などについて問い詰められた。

トランプ氏は聴衆に対して、問題について柔軟に態度を変えたくなったらそうする権利があると主張した。すると、イラク戦争やアフガン侵攻、シリア難民の受け入れといった様々な政策課題について、これまでいかに態度を変えてきたか示すビデオが流れた。

泥仕合は延々と続き、クルーズ氏がトランプ氏に「息して、息して、息して」と言う場面さえあった。しかし息を切らしているのは共和党の方だ。最有力候補が党を破壊するかもしれないと恐れて、自分たちの最有力候補を食い止めようとしている。しかしこれまでのところトランプ氏は、期待の候補に何が投げつけられようと気にしない、実に忠実な支持者たちに恵まれてきた。

(英語記事 US election 2016: Donald Trump under attack from debate rivals)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/35723618

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