WEDGE REPORT

2016年3月8日

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ジョン太郎 (じょん・たろう)

現役金融マン

大手銀行入社後、日系・外資系の様々な金融機関で、商品開発や戦略企画などの要職に就く。投資信託や不動産ファンド、ヘッジファンド、機関投資家の自己資金運用など様々な分野で投資・運用ビジネスに携わり、株式・債券・為替・REIT・不動産・コモディティ・デリバティブ等、多種多様な金融商品に精通。2005年より、ブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」を開設。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわる様々なトピックをわかりやすく親しみやすい言葉で解説し、人気を博している。近著に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」。そのほか、マネックス証券の「マネックスラウンジ」にてコラム「お金の相談室」連載中。著書に「ど素人が読める決算書の本 第2版」「ど素人がはじめる投資信託の本」(いずれも翔泳社)がある。http://jovivi.seesaa.net/

 

 忘れないでほしいのは、こうした状況下で、日本円を安全に運用するのは極めて難しいという現実だ。安全性の高い運用に対するニーズは非常に大きく、そうしたお金を全て受け入れることができる安全な市場などない。短期金融市場や国債市場というのは地味だがとても重要な役割を果たしている。失ってみて初めてその大切さやありがたみがわかるというものだ。

安全性の高い運用を求めて彷徨うマネー

 安全性の高い運用が求められる大量の資金を受け入れてきた市場がマイナス金利となり、そこでの運用が難しくなれば、その影響はそうした市場での運用を前提にしたMMFや国債ファンド、保険商品など、個人も安全性を求めて活用する金融商品にまで波及する。運用難の状況下でも緩和マネーがどんどん供給され、世の中には運用難のお金が溢れかえり、お金のかなりの部分が安全性の高い運用を求めて彷徨う。すると、どうなるか。

 そうした資金を受け入れようと、安全性の高い運用を標榜した金融商品がたくさん出てくる。法律的にはセーフだが、微妙なもの、グレーなもの、アウトなもの、いかがわしいもの、果ては詐欺まで、こうした運用環境下では今後いろいろとこねくりまわした「安全性が高い」と謳う様々な金融商品が出てくるだろう。

 そんな商品に出くわしたら、どうか思い出し、考えてみてほしい。こんな状況下で一体どこで運用するのだ、と。マイナス金利環境下で元本の安全性が高く、それなりの利回りが期待できる、そんな夢のような商品があれば銀行や保険会社が何百億円単位で買う。なぜそれをわざわざ手間とコストをかけて個人に小口で販売しないといけないのだ。本当にそんな利回りが期待できるのか、本当に安全性が高いのか、を慎重に確認してみてほしい。

 先に掲げた国債利回りをご覧いただければわかるが、安全性の高い運用でプラスの金利を得ようとすれば15年以上というとても長い期間のリスクをとるか、国債よりも信用力の劣る、つまり安全性の劣る借り手に貸すというリスクをとるか、しかないのだ。もちろん、他のリスクでもいいが、安全性を重視した運用をするなら少なくとも15年以上の期間リスクをとらなくてはならないし、これではその商品をあなたに届ける商売をしている人たちの手数料が抜けないので、現実的にはもっと期間を長くしなくてはならない。

 15年以内の期間で、安全性が高くて、利回りがプラス、なんていう商品があったらそれは話が矛盾している。15年以内の期間で、利回りがプラス、その2つが確かなのであればもう1つの、安全性が高いというところに何らかの間違いがある。そんな商品は作れない。リスクをとらずにプラスの利回りを期待することはできない世の中になったのだ。

 マイナス金利の世界で気を付けていただきたいことがある。安全性の高さを謳うものに気を付けよう。安全性の高いものでプラスの金利は得られない、ということを肝に銘じておこう。

  
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