オトナの教養 週末の一冊

2016年7月17日

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 房総の漁師だった祖先のルーツを追う前作『コンニャク屋漂流記』を書き始めた2008年、すでに「裏テーマ」として自分とキリシタンとの接点を探っていたと星野さんは言う。

 16世紀末の天正遣欧使節が気にかかり、まず開始したのが、4人の少年が帰国後に豊臣秀吉の前で演奏した古い弦楽器リュートの弾き方を自ら習うことだった。

「400年前の東西文化の出会いと衝突をめぐるノンフィクション紀行ですけど、前半はリュート演奏のように、自身に関わる話題が多く軽快ですね」
「軽快ですか? 最初のうちは方向がつかめず、四苦八苦したんですが」

 中学・高校とミッション・スクールに通った際の違和感、17世紀初頭に房総沖で遭難したスペイン人ドン・ロドリゴに対する「妄想」、香港での語学留学中親しくなったカトリックの神父や修道女の話などが幾分気ままに綴られた後、舞台は宣教師らの痕跡が残る長崎に移り、筆致は研究書風になる。

「史料を読みながら長崎近辺を歩いた時に、ああ迫害期のことが紹介されていない、と思ったんです。ドアが開いた感じでした」

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