WEDGE REPORT

最終兵器は少年兵と毒ガス窮地に追い込まれたIS
8歳から16歳ごろまでの少年を自爆テロに投入

佐々木伸 (ささき・しん)  星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

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時間軸の長い視点で深く掘り下げて、世界の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 米ワシントン・ポスト紙が米軍関係機関の調査報告書として報じたところなどによると、少年兵を使った自爆テロはこの1年間で89件に上る。少年らはシリア人とイラク人が多いが、イエメンや英国、オーストラリア国籍の少年も含まれている。

 この89件のうち、爆弾満載の車で自爆したケースが36件、”敵に銃を発射しながら突っ込み、そして自爆ベルトを起動させる”カミカゼ”型のテロが18件ある。これら少年を使うのは単に戦闘員不足を補うためだけではない。ISは少年らを組織の狂信的な思想に洗脳し、そして過激な暴力に完璧に慣れさせるための広範な戦略の一環と位置づけている、という。

善悪の基準を変える

 ISは、暴力や残虐性に免疫を作り、善悪の基準を変えよう、と少年らをさまざまな行為に加担させている。例えば、首を切断するなどの公開処刑の見学や、他の少年が自爆作戦に旅立つビデオ映像を視聴するのは一般的だ。

 少年が実際に処刑する姿も映像で流されている。あるビデオ映像によると、ISのハチマキをした4歳ほどの幼児がスパイとされる男3人が乗せられた爆弾車を遠隔操作で爆破。そして「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んで拳を突き上げる衝撃的なものだ。

 ISが少年兵を利用しているのは、少年らが単に減少する戦闘員の代用品ではなく、イスラム帝国「カリフの府」を再興する大儀のための重要な一員とみなしていることも大きい。今後ISがさらに追い込まれれば、自爆テロが増え、結果として少年兵がそうした作戦に投入されるケースも多くなるのは必至だ。

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佐々木伸(ささき・しん)

星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

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