WEDGE REPORT

2016年3月12日

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勝村久司 (かつむら・ひさし)

高等学校地学教諭、元厚生労働省医療安全対策検討WG委員

1961年生まれ。京都教育大学理学科卒業。高等学校地学教諭。1990年、陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害などの市民運動に取り組む。厚生労働省の中央社会保険医療協議会や日本医療機能評価機構の産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任。2015年8月より群馬大学附属病院で腹腔鏡等で死亡事故が相次いだ事件の医療事故調査委員に就任。著書に『ぼくの星の王子さまへ』(幻冬舎文庫)、共著書に『どうなる!どうする?医療事故調査制度』(さいろ社)など。

「中学でこのように教えている」という勘違い

 今回の出題ミスの原因が、地球から月や惑星の視線方向に引く「補助線の引き方の間違い」であることは既にはっきりしている。

 「中学校でこのように教えているから問題ない」という都教委の新たな主張は、「中学校ではこのように補助線を引くように教えているから問題ない」という理屈だ。しかし、そんなことはあり得ない。

 改めて、Wedge編集部が作成した、【筆者の補助線】と【都教委の補助線】を見比べてほしい。

 この設問は平成27年3月24日の設定となっており、その日の金星は、事実として「ウ」に位置していた。

 そこで、【筆者の補助線】のように、天文学的に正しい補助線を引くと、この日の地球からは、西から、火星・金星(ウ)・月、の順にほぼ等間隔で並んで見えていたことがわかる。これは、当然だが、その日に実際に観測される天文学的事実と一致する。

 ところが、【都教委の補助線】のように、地球の大きさを適当な丸で表現した表面を始点にして補助線を引くと、月の視線方向の角度が特に大きくずれてしまい、火星と月の間に見える金星の位置は「イ」だけになってしまう。

 本当は、この日の火星と月の間に見えていたのは「ウ」の位置の金星だったのに、この間違った補助線のために、火星と月の間に見えるのは「イ」だけだという理屈になり、「ウ」と解答した生徒が×にされ「イ」だけが正解になってしまっているということが、今回の出題ミスだ。

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