2024年4月18日(木)

WEDGE REPORT

2016年3月15日

 懸念されるのは、トルコからギリシャ経由の欧州入りルートが遮断された場合、難民らはより危険な「リビア―地中海―イタリア」というルートに向かうと見られていることだ。このルートは地中海を横断するため船の沈没などでこれまでに数千人が死亡しているが、海が穏やかになる春の到来で急増する危険性もある。

ギリシャとマケドニア国境を徒歩で超えようとする難民(iStock)

新たな人道危機

 昨年欧州へ流入した難民は125万人に上る。今年もすでにトルコからギリシャ経由で13万人以上が流入した。しかしEUのほとんどの加盟国が難民の受け容れを事実上拒否、なお受け入れを進めるドイツも国境の管理を厳しくするようになった。

 トルコとの合意が発表されてからは、ギリシャからドイツへ向かうルートになっていたセルビア、クロアチア、スロベニア、マケドニアなどバルカン諸国が国境を封鎖した。欧州各地で漂流している多数の難民に加え、ギリシャには約5万人の難民が足止めされ、野営地では厳寒の中、病気になる人などが急増、新たな人道危機が生まれつつある。

  
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