核合意後でも油断禁物
イラン巡航ミサイルの脅威


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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安全保障問題ユダヤ研究所のリューエとフライシャーが、2月21日付ウォールストリート・ジャーナル紙にて、イランの弾道ミサイルの脅威は重要だが核装着が可能な巡航ミサイルの脅威が見過ごされている、この脅威への対応が必要だ、と主張しています。論旨は次の通り。

iStock

イランが保有する巡航ミサイルの脅威

 最近のイランによる弾道ミサイル発射実験が注目されているが、イランが保有する巡航ミサイルの脅威を見逃してはならない。

 イランは既に10を超えるロシア製の核弾頭搭載可能なKh-55を保有している。射程は1500マイルでテヘランからカイロやニューデリーに到達可能。さらにイランはこれを模倣したSoumarミサイルを保有している。

 弾道ミサイルも巡航ミサイルも核弾頭を装着できるが、巡航ミサイルは短い時間で発射でき、精密な誘導システムを持っているため、対応がより難しい。また低空で飛行するためレーダー捕捉も難しい。

 イラン核合意は、巡航ミサイルについて規定していない。核合意により1200億ドルの凍結資金は解除され、合意を承認する安保理決議2231は核兵器運搬可能な通常兵器や技術の包括的禁輸制裁を解除した。

 核合意の後、ロシアや中国は再びイランへの軍事輸出増大に乗り出そうとしている。イランが巡航ミサイルに必要なターボファン・エンジンや誘導システム、戦闘機などの発射プラットフォームを入手することは容易なことだ。中国製の対艦ミサイルはペルシャ湾・オマーン湾での米の圧倒的優位に対抗せんとするイランの戦略の重要な柱となる。イランはイラン・イラク戦争末期に米船に向けてミサイルを発射したし、ヒズボラにはC-802Saccades対艦ミサイルを提供し、最近では新たな対艦巡航ミサイルの発射実験をしている。

 米国はこれに対して何もできないと思うべきではない。安保理決議2231の下で米、英、仏はロシア、中国が巡航ミサイル、その部品や技術のイランへの移転を阻止できる。これらの移転は安保理の承認を必要とするので、米国はミサイル技術の移転阻止の立場を明確にすべきだ。さらに、決議はイランによる武器輸出の禁止を定めている。

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