“性奴隷”に避妊を強制するIS
妊娠女性とのセックスを忌避


佐々木伸 (ささき・しん)  星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

WEDGE REPORT

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過激派組織「イスラム国」(IS)は拉致した性奴隷が足りなくならないよう、戦闘員が関係を持つ際に避妊を強く要求しているというおぞましい実態が明らかになった。ISが出した公式な文書には、預言者ムハンマドの時代にも実践されていたとして、男が女奴隷をレイプするのは合法と明記されており、IS支配地では今も多数の女性が性の虐待に苦しんでいる。

ISの脅威が住んでいた村に迫り逃げてきたイラク人の少女(Getty Images)

イスラム法、妊娠の有無求める

 この実態は米紙ニューヨーク・タイムズがこのほど、シリアとイラクのIS支配地域から逃亡してきた約40人の女性から聞き取り調査して明らかになった。女性たちはイラクの少数派ヤジディ教徒で、ISがイラクに侵攻してきた2014年夏以降、同組織に拉致されている。

 拉致された数は5000人ともいわれ、戦闘員の“妻”にされるなど性の奴隷として奉仕を強いられている。女性の中には100回も売買されている人もおり、自爆テロで死に旅立つ前に急きょ、その戦闘員の一夜妻にされるケースもある。

 戦闘員らはこうした性奴隷をレイプする前に女性が妊娠していないことを執拗に確認するケースが多い。というのもIS指導部がイスラム法(シャリア)の規定を引用し、性奴隷とセックスする時には、女性が妊娠していないことを確認しなければならない、との命令を発布しているからだ。

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佐々木伸(ささき・しん)

星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

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