WEDGE REPORT

“性奴隷”に避妊を強制するIS妊娠女性とのセックスを忌避

佐々木伸 (ささき・しん)  星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

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時間軸の長い視点で深く掘り下げて、世界の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 7回に渡って売買された16歳の少女には、売買と一緒に避妊用のピルの箱も付けられていた。3人目の購入者は少女が妊娠していないかを執拗に心配。生理が遅れていることが分かると、「モーニング・アフター・ピル」という緊急避妊薬を飲ませ、それでも満足せず、少女の下着を下ろさせて太ももに避妊薬を注射するという念の入れようで、その後にはじめてレイプしたという。

妊娠は唯一の防御策

 また、すでに妊娠している女性を流産させようという行為も行われている。20歳の女性は拉致された時、すでに妊娠4カ月だった。ISの指揮官の1人が彼女に執着し、クスリを与えて流産させようとした。イスラム法では妊娠した女性とは関係を持てないことになっているからだ。

 その際、彼女はクスリを飲んだ振りをしてひそかに吐き出し、流産を免れた。その後2カ月間、拘束場所を次々と移動させられたが、妊娠をしていることでレイプされずに済んだ。彼女は妊娠をしていることを幸運だと考えるようになったという。

 この女性は最終的には、家族が雇った密航業者によって探し出され、救出された。その時、彼女のお腹は自分のつま先をみることができないほど大きくなっていた。彼女は2カ月後に無事に男の子を産んだという。

 北部イラクにある国連支援のクリニックで治療を受けたこうした女性たちを調査した結果、対象となった700人以上のうち、妊娠していたのはわずか5%の35人で、非常に低い妊娠率だった。通常の若い女性の妊娠率は20%から25%とされている。

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著者

佐々木伸(ささき・しん)

星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

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