WEDGE REPORT

2016年3月21日

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組織的な性奴隷制度

 他の紛争でも女性がレイプされるケースは多い。例えば、90年代のユーゴスラビア紛争時のある調査によると、クロアチアとボスニアでレイプされた68人のうち29人が妊娠させられていたという。

 こうしたISに拉致された女性たちの妊娠率が低いのは、ISが組織的に避妊を強制しているからだ。戦闘や自爆に赴く戦闘員には、気持ちを鼓舞したり、今生の別れに女性が欠かせない。ISはこのためにヤジディ派の若い女性たちを拉致し、性奴隷として活用。女性たちの妊娠を回避して、「性奴隷制度」に支障が生じないようにしているわけだ。

 「セックスの前に妊娠をしていないことを確認する」という中世のイスラム法の規定は本来、子供の父親をめぐる混乱を避けるためのものと見られている。ISが女性たちをたびたび、病院に連れて行き、妊娠の有無を検査しているのもこの規定があるからだ。だからISはまず妊娠させないことを優先し、避妊のピルなどを戦闘員に配布している。

 フランスの女性権利相はISの行為を「フェミサイド」(女性の虐殺)として強く非難している。ISの非道と暴力の下で、女性たちが苦しみもがいていることを国際社会は忘れてはなるまい。    

  
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