プロ野球開幕直前
コリジョンルールは揉め事のタネ


赤坂英一 (あかさか・えいいち)  スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。主な著書に『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『広島カープ論』(PHP研究所)など。

赤坂英一の野球丸

ジャーナリスト赤坂英一による野球日記。現場目線で、野球の今を深読みしていく。

»最新記事一覧へ

プロ野球の公式戦開幕を目前に控え、今季から新たに施行されたルールが波紋を広げている。本塁上でのクロスプレーによるケガを防ぐため、走者が捕手に故意にぶつかるタックル、捕手が走者の走路を塞ぐブロックなどを禁じたコリジョン(衝突)ルールだ。

 このルールは2015年、メジャーリーグで新設された。きっかけは11年、SFジャイアンツの主砲兼正捕手ポージーが走者に激突され、足の骨折、靱帯断裂と選手生命を失いかねない大怪我をしたアクシデントである。日本でも13年、阪神のマートンがヤクルト捕手・田中雅彦にぶつかり、鎖骨を骨折させた。そうした事故を防止しようと、NPB(日本野球機構)もメジャーに倣い、今季からコリジョンルールを導入したわけだ。

悪質なブロックの基準とは(iStock)

「警告2回で退場にする」

 ところが、3月15日、神宮球場で行われたヤクルト−広島のオープン戦で、このルールが思わぬトラブルの原因となった。広島の走者・松山竜平が本塁でタッチアウトとなったプレーに対し、ヤクルトの捕手・中村悠平がブロックしていたと緒方孝市監督が審判に抗議。審判がビデオ映像をチェックしてアウトからセーフへ判定を覆し、中村に警告を与え、「警告2回で退場にする」と告げたのである。これに真中満監督が疑問を呈した。

 「中村がブロックしたから、アウトがセーフに変わったのはわかる。しかし、警告2回で退場とは初めて聞いた。捕手が2人しかいないチームもあるんだし、非常に厳しいルールだよね。明らかに悪質なブロックならともかく、そうではないブロックについてはもう少し考えてくれてもいいんじゃないかな」

 当事者の中村は「咄嗟のプレーだったんでついブロックしてしまった」と証言。中村の先輩で、コリジョン導入のきっかけとなった田中も、「長年、身に染みついた動きは簡単に変えられませんよ」と困惑の表情だった。

1
nextpage
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
「赤坂英一の野球丸」

著者

赤坂英一(あかさか・えいいち)

スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。主な著書に『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『広島カープ論』(PHP研究所)など。

WEDGE Infinity S
ウェッジからのご案内

Wedge、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

  • WEDGE
  • ひととき
  • ウェッジの書籍